アークナイツ:エンドフィールド リリースバージョンの感想など
次のバージョン情報が出たので、初期リリースの内容について書き記しておく。
なぜなら他人の感想を読み漁るのって楽しいから。
とりあえず、自分のステータスを貼っておきます。

現時点での任務はすべて完了済み。

最初に総合的な感想から。
本作は、掛けた労力に対して、ゲーム体験としてのリターンがしっかりとある作品です。
ゲーム開始からプロローグ、第1章の完了まで、はっきり言ってながーーーーーーーーいチュートリアルだな、と自分は感じました。昨今のトレンドとしては、このチュートリアルを出来るだけ軽くし、プレイヤーの早期離脱を防ぐようにデザインされてると思います。本作は、そのトレンドに背を向けて、「この作品」を遊ぶための下準備をするよう強いてくる、というのが、本作の姿勢を端的に示しています。巷の評価として、「運営型ゲームの皮を被った売切型ゲーム」というものが散見されますが、そのような感想を抱く要因の大部分が、この部分にあると行っても過言ではないのではないかと思われます。
では、なぜ早期離脱のプレイヤーが多数出るリスクを取ってまで、このようなデザインにしたのか。理由はシンプルで、「自分たちの創り上げた、そして今後創り上げていく作品への確固たる自信」。そして、「そうして創り上げられた作品には、絶対にプレイヤーが付いてくる」という、無印アークナイツで培われたプレイヤーへの信頼。この2つだと思います。
本作の特徴は、工業部分だけが取り上げられることが多いですが、それはあくまでも目立つ部分がそこ、というだけであり、工業部分も含む、「アークナイツ:エンドフィールド」という作品におけるすべての(本当に『すべて』の)要素が、作品を成り立たせるために必要なものになっている、という部分だと思います。「チェーホフの銃」という有名なお話があります。「もし第1章で、壁にライフルが掛けてあると述べたなら、第2章か第3章で、それは必ず発砲されなければならない。もし、それが発砲されることがないなら、そのライフルはそこに掛けられるべきではない。」というものです。無印アークナイツから、ハイパーグリフという制作チームは、この教えを愚直なまでに守っています。
わたしは他の運営型ゲームをあまり遊んでいません。が、数少ない経験や、見聞きする状況から、ハイパーグリフの姿勢がいかに異様なのかが浮き上がってくるように感じます。売切型ゲームですら、ゲーム内の要素として必須ではない部分がどうしたって出てきます。コンテンツとして準備はしたものの、作品そのものへの関与が少なかったり、そもそも、そのコンテンツを触らなくても問題がなかったり、様々なリソースが徐々に代替わりして不要になっていったり。
これはごく当たり前の話で、膨大なコンテンツやリソースで、例えばキャラクターの成長、例えばストーリーの進行、例えば様々なオマケ要素、そういうものを組み合わせることで、作品が成立している、というのが大部分のビデオゲームだからです。
しかし、ハイパーグリフという制作集団は、自分たちが産み出したコンテンツの使い方に貪欲で、簡単に捨てることがありません。普通は気にもかけない、プレイヤーも「そういうもの」として視界にすら入らないような、キャラクターの成長素材一つ一つに、物語のエッセンスをしっかりと埋め込み、コンテンツの要素として粒立てていきます。フレーバーテキストに然り、入手手段に然り、です。
こういうチームが作る作品がどうなるかといえば、提供されるあらゆるコンテンツが、その作品を理解するための前提として立ち上がってくる、ということです。無印アークナイツにおいて、その姿勢はゲーム内に収まることすら拒否し、ゲーム外の様々なコンテンツにまで及んでいます。
無印アークナイツは、2Dタワーディフェンスというのがコアであるため、どうしたって表現には限界がありました。そのプラットフォームの可能性を追求し続けている姿勢には畏怖すら覚えるレベルですが、それでも、表現としての限界は確実にあります。
そんなハイパーグリフが、3Dのオープンワールドライク(実際は箱庭的な、定められたエリアを探索するスタイル)な表現の場所を求めるというのは自然なことではあります。でも、そういう気質を持ったクリエイター集団に、そんな広大な場所で自由に遊んでいいよ、と提示したらどうなるのか。それが、本作です。
工場要素は、クリエイターたちがやりたかったコンテンツ、というのは確固たる前提ですが、彼らが凄いのは、それを「エンドフィールド」という作品で、どのように活かすのか、ということを徹底的に考え抜き、実装している、という点に尽きると思います。そしてそれは、本作における様々なコンテンツすべてに通徹されている、彼らのゲーム哲学みたいなものとして顕現している、と思います。
本来、こんなことは思っても手を出しません。なぜなら、それを実現するためには膨大なリソースが必要であり、リソースを費やせば費やすほど、ビジネスとして成立する可能性が下がっていくからです。しかし、そこにあえて踏み込んで、「自分たちが作りたいゲーム」「自分たちが遊びたいゲーム」を、自分たちの手で創り上げていく。その狂気すら感じるレベルでのゲームづくりへの熱意。それが本作にはある、と感じます。
そして、それを自己満足で終わらせるのではなく、できる限り多くの人に共有してほしいという意思。それが、冒頭で書いた「ながーーーーーーーーいチュートリアル」という形として出てきたのだろうと思います。正直、自分もめちゃくちゃ面倒くさいと思いましたし、そこに付き合うのは、はっきり言って苦痛ですらありました。しかし、その時間を過ぎて、自分が歩んだ道を振り返ってみると、「エンドフィールド」という作品を楽しむための要素を、これ以上ないほど適切な順番で学ばせてくれていた、と分かるのです。ゲームを楽しむために必要とされる要素の学習曲線を、ここまで丁寧かつ適切に引いてくれるゲームは早々ないと思います。
そして1章が終わり、2章に入ると、1章のようなチュートリアル感は完全に消え失せ、この世界で自由に遊んでください、我々が用意した物語を存分に楽しんでください、という姿勢で送り出してくれるのです。凄いなこの作品は(も)、としみじみ嘆息しました。
個別要素については、様々な人が様々な形で感想を述べているので、あまり見かけなかった部分で、自分なりの感想を書いてみました。ハイパーグリフが準備したのは、「最高の遊び場」である、というのが、現時点で自分がエンドフィールドに抱いているイメージです。ストーリーを堪能するも良し、アクションの爽快さを楽しむも良し、美麗な風景を観光して回るも良し、効率を追求した工場運営に没頭するも良し。そして、そのすべてを有機的に絡ませることで、プレイヤーが費やしたリソースに応じて、唯一無二なゲーム体験という報酬を返してくれる、そんな作品を指向している作品だと思います。この方向がブレない限り、自分は一生ついていける作品だと確信しています。
追記
入れるか迷って結局外したのですが、記録の意味でもあったほうが良いかと思い直したので追記します。
サウスコリアでゲーム解説?配信をされている方がいて、この方が海猫Pにインタビューする動画がありました。第2次CBT時点で、エンドフィールドという作品をどのように捉え、どういう志向で開発しているのか真摯に回答している素晴らしい動画だったので、貼っておきます。もちろん日本語訳はされていません。わたしも日本語しか分からないのですが、自動翻訳で概ね理解できました。
個人的に最も印象的だったのは、「プレイタイムなんて気にしても仕方なくね?」みたいな回答です。「運営型ゲームはいかにプレイヤーを拘束し、可処分時間を使わせるかがキモ」ということがよく言われています。しかしインタビュー内で、海猫Pはそれを明確に否定しています。これは個人的にはかなりの衝撃で(だからこそオープニングの切り抜きでも使われていると思われる)、しかし、無印を振り返ると、確かにその思想はあったなと納得する部分でもあります。
運営型ゲームの業として、プレイタイムを増やす施策を入れざるを得ないということがあります。だから入れざるを得ない。どうしても入れないといけないなら、その時間を少しでも楽しい時間にしたい、という意思が、無印でいう「自動指揮」にあったと自分は思っています。詳しくは記載しませんが、自動指揮とは自分がクリアした手順をトレースするという機能で、ただし、100%トレースするのではなく、若干のランダム要素(配置やスキル発動のタイミングが揺らぐ)があるため、ギリギリのクリアだと失敗するようにデザインされています。そのため、プレイヤーは余裕を持ってクリアして、自動指揮が確実に成功するよう、一度クリアしたステージでも、自動指揮を安定させるために何度も挑戦する、というプロセスが発生します。わたしはこのデザインは天才の仕事だなと感嘆したものです。そして、この自動指揮を実行している存在が、ストーリーに深く関わる要素になっていたりするので、そういう部分でも惚れ込んだりしました。
閑話休題。
「やらなければならない」ことは出来るだけ増やさない。一方で、「やってもいい」要素はたくさん作る。これは、アークナイツというタイトルが、無印の頃から一貫して続けている姿勢だと自分は思っています。エンドフィールドは、リリース時点では「やってもいい」コンテンツはそれほど多くはありません。ただ、それを増やしていこうという意思は、例えば莫大なサブクエストや、本作のコンテンツ一つ一つにフォーカスした各種イベントなどで垣間見られると思っています。
「やらなければならない」要素でプレイヤーを拘束するのではなく、「やってしまう」要素でプレイヤーを引き付ける。やることをやり尽くして離れてしまうプレイヤーがいても、作品が面白ければ、やることが出来た時点できっと帰ってくる。そういう思想が根底にあるのかなと思っています。運営型のゲームを提供している会社としては、あまりに異質な思想だと思います。だからこそ、自分は大好きなわけですが。
あと、このチャンネルの別の動画で、エンドフィールドの全体設計を考察する動画も上がっており、個人的には納得しかない、見事な内容でしたので、合わせて貼っておきます。
ゲームのメカニクスや「楽しさ」について考察するコンテンツは、日本でもブログとかでちょくちょく出るようになってきましたが、もっと増えないかなあと思っていたりします。考察ブームらしいですし。
15章を終えての感想
アークナイツの15章を2日に分けて読み終わりました。
これまで語られてきた「ロドス」に関するお話を総括し、新たなスタートを切るお話だったなと。言ってみれば幕間のお話だと思うのだけど、それをここまで面白く描き切るんだから、やっぱりこの作品のシナリオ陣はとんでもない……。
ここからはネタバレ前回で書きますので、15章を読了していない人はご注意を。
続きを読む相見歓 シナリオ解説と言う名の覚書
シナリオはいつも通り最高だったんですが、炎国のお話は登場人物の名前が似通っていて、特に今回のお話はミステリ仕立てで分かりにくい部分もあったので、自分の中での整理も兼ねて、登場人物と「事件」について簡単にまとめてみました。
当然ながらネタバレしか無いので、ご注意ください。
- 登場人物たち
- ウェイ・イェンウ
- 太師
- シィンズゥの母
- 手が血だらけの者
- ニン・シュー
- ユー・チェン
- グー・チュエン
- シィンズゥ
- ホァン(ブレイズ)
- リン・チンイェン(レイズ)
- シエ・ジェン
- リャン・シュン
- モー・ブフー
- 事件など
- ニン家の事件
- 大理寺の事件
- ユー・チェン最後の事件
- 天下一白の話
- 「太師」による大逆事件と、本イベントの真相
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14章を終えての感想など
あのバベルですらもこの章のプロローグに過ぎなかった。
このアークナイツという作品の奥深さ、底知れなさを、改めて思い知らされた。
実装キャンペーンも終わるので、そろそろ感想をまとめてつらつら書いておく。
いつものごとくネタバレ&妄想満載なのでご注意下さい。
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旧人類の最期とバベルドクター、PRTSの仕組みなど(バベルイベントを読了して)
バベルイベントを終えて、そのあまりの情報量の多さと強烈過ぎた衝撃に打ちのめされていたのだけれど、落ち着いてきていろいろと思うことがあったので、メモ代わりとして書き残しておこうと思った。ということでネタバレ&妄想全開です。
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