漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

アークナイツの魅力について

 初めて半年ほどのまだまだ新人ドクターですが、このゲームにハマってから、それまでやってたソシャゲをすべて止めてしまったくらい、アークナイツというゲームに惚れ込んでいます。モンハンコラボで新規ドクターが増えるかもという時期なので、自分がこのゲームに感じている魅力について、つらつらと書いていこうと思います。

 魅力は一言でいうと「高いゲーム性」と「読み応えのあるシナリオ」です。一般的なソシャゲからすると特異な要素だと思います。魅力と感じているところを、この2つの軸で言語化していこうと思います。

とりあえず自己紹介から。わたくしこういうものです。

直近のイベントである導灯の試練#2は最終試験までクリアできました。

 

 まずは「高いゲーム性」から行きましょう。アークナイツは、「タワーディフェンス」というジャンルのゲームです。こちらの陣地を目掛けて敵が攻めてくるので、陣地に踏み入らせないようにユニットを配置して、すべての敵を撃退する、といった内容ですね。敵が攻めてくる経路は事前に表示され、なんど繰り返しても必ず同じルートを通ります。ランダム要素は敵の攻撃や味方のスキル(回避など)に一部ありますが、ほぼ固定された展開になると言っていいです。なので、言ってみればパズル的な要素が強めです。解法は決まっていて、その通りに動かせば必ずクリアできます。ここでポイントは、「解法」がプレイヤーの数だけ存在する、と言っても過言ではない所です。Youtubeなどで「解法」を配信しているドクターが沢山いますが、低レアだけで攻略、置くだけでスキルを発動せずに攻略、最少人数で攻略など、同じステージを様々なやり方で攻略しているのが確認できると思います。また、使用しているキャラクター(本作では「オペレーター」と呼称しますので、以降はそう記載します)も、人によって様々です。

 自分がこれまで触れたことのあるソシャゲは、いわゆる「最新の高レアで殴る」が攻略法であることが殆どで、キーとなるキャラが引けなければすぐに詰む、みたいなケースが大多数でした。プレイヤースキルというよりガチャ力勝負みたいな。アークナイツでもそういう側面があることは否定できませんが、あくまでも「攻略が楽になる」で留まっており、そのキャラがいないと詰むといった、いわゆる人権キャラみたいなものは皆無と言っていいと思います。また、よく言われていることでもありますが「課金圧」が低いです。ある程度続けてプレイすることでガチャを引くことが出来、最高レアの有能キャラも確実な手段で手に入れることが出来たりします。イベントをクリアするだけなら、Youtubeの「解法」を参照してユニットを配置することで解決できたり、フレンドのサポートを借りてクリアすることも出来たりします。ガチャゲーにならず、手持ちのリソースを駆使してプレイヤーの工夫や機転でクリアすることが出来る、という部分が「高いゲーム性」と感じている部分です。苦心して考えだした「解法」が見事にハマり、苦労したステージを突破できた時の快感は、思わず「やった!」と声が出るくらい気持ちが良いです。さらに、「タワーディフェンス」というジャンルの限界を試すかのように様々な趣向を凝らしたゲーム内ゲームが展開され続けており、挑戦が尽きることもありません。

 次に「読み応えのあるシナリオ」です。シナリオに関しては個々の嗜好に依るところが多いうえに、アークナイツは万人受けするタイプのシナリオではないと思うので、ここからは完全に自分の「好き」だけを書いていきます。

 シナリオのジャンルとしては、「ハイ・ファンタジー」が該当すると思います。この世界とは異なる異世界で展開される、いわゆるディストピア&アポカリプスものです。詳しい世界設定は軽く検索すればいくらでも出てくると思うので割愛しますが、「源石病」と呼ばれる致死率100%の病気が蔓延し、その病気や民族への差別や偏見が散見される、救いがたい世界が舞台です。プレイヤーは、そんな世界を変えようとする「ロドス・アイランド」の指揮官として目覚めるところからスタートです。ただし、プレイヤーの分身である「ドクター(医師ではなく博士の意)」は、目覚めたときには記憶を無くしており、眠りにつくまでの経緯や人間関係などが真っ白な状態です。そこから怒涛のように押し寄せる事件に身を投じることになる、というのが導入部分です。つまり、「自分は誰なのか」「この人たちは何が目的なのか」から始まり、「この人たちを、この世界を守るためにはどうすれば良いのか」へと繋がっていく、というのが大まかなストーリーラインとなります。

 自分がこのシナリオにガッツリと掴まれた理由は、物語を構成する要素が非常に高いレベルに到達していることでした。決してご都合主義でないシビアかつシリアスな展開、敵味方双方とも内面まで深く描かれるキャラクターたち、様々な背景を持って登場する人物たちが織りなす複雑な人間関係、少しずつ明らかになっていき、さらに深まっていく謎の数々など、「物語を読む喜び」がみっしりと詰まっています。それを描き出すための文字数が、メインストーリー8章(第1部の最終章)だと18万文字にも達するということからも、いかに労力をかけて物語が書かれているかが分かると思います。

 世間の評判として、文章そのものの評価はあまり芳しくないと評されているものも少なくないですが、個人的には翻訳された文章(開発元はChinaなので、日本語は翻訳されたもの)としては好みです。冗長な言い回しや、過度に華美な言い回しなのが敬遠されているようですが、言い回し自体はよく練られていて美しいものが多いですし、「図書館の魔女」の高田大介や、辞書本で名を馳せた京極夏彦の文章が大好物な自分にとっては、これくらいでちょうど良かったりします。冗長ではありますが、論旨はだいたい明確です。

 舞台となる国家のテイストに合わせているのも面白いと思えるポイント。活字中毒の人ほどハマりやすいテキストだと思います。特に、新年イベント(日本に展開されるのは半年遅れなので夏頃)で展開される炎国(モチーフはChina)は、開発元のお膝元であるため、Chineseの言い回しが多用され、その文字列を観ているだけで陶然と出来るレベルです。

 また、メインストーリーだけでなく期間限定のイベントで展開されるサブイベントも、決して短いとは言えないボリュームで読み応え充分です。イベント内容は本編に関係するもので、アークナイツという世界を掘り下げることに繋がっていきます。

 シナリオの内容として暗く苦しい展開が多いことは否定できませんが、いわゆるイヤミスのように読後感が最悪、みたいなものは自分にとっては殆どなく、どれだけ救いようがない展開であっても、最後には希望を残したり、「次」に向けた種が残されたりと、泥臭く諦めない、といった展開が多い印象です。もちろん、ここぞというクライマックスは周到に準備されており、殆どのイベントでカタルシスを得られることは間違いないと言っていいでしょう。

 登場人物それぞれに信じる「正義」があり、綺麗事だけで物語が閉じることはありません。個人は軍隊には敵わず、少数派は多数派に蹂躙され、理想は現実に踏み潰されていき、どれだけ信じていても裏切られ、夢が簡単に叶うことはありません。奇跡でみんなが救われる、といったことは起こらず、命は容赦なく奪われます。それでも歯を食いしばりながら、僅かな希望を目指して一歩を踏み出す、というお話です。

 また、各オペレータには「プロファイル」という要素があり、育成を進めることで内容が開放されていきます。また、一定のところまで育成を進めることで、「モジュール」や「回想秘録」という、そのキャラクターを掘り下げる要素も開放されます。これらの内容は、キャラの魅力だけでなく、メインストーリーを掘り下げるための要素にもなっています。様々なアイテムにもフレーバーテキストが記載されており、世界を推測する要素になっていたりします。

 こういった、様々に張り巡らされた要素を自分なりに繋ぎ合わせ、きっとこれはこういうことだな、と想像するのも楽しいですし、ああ、あれはそういうことだったのか!と驚かされるのも楽しいです。

 ゲームの舞台は現実の国家を想起させる様々な国家で形成される「テラ」という広大な世界で、それぞれの国家ごとに、現実の国家をデフォルメしたような、様々に際立った特徴が付与されています。登場するキャラクターたちは半獣人(全獣人もいる)であり、犬や猫、熊や兎など、モチーフとなった動物ごとに「民族」として分類され、先述した国家を形成しています。モチーフは現実の動物だけでなく、天使や悪魔がモチーフになっている民族もあります。動物や架空の生物、それぞれの特徴が民族の特徴に繋がっているのも面白さを感じさせるところです。荒唐無稽でありながらも、プレイアブルなオペレータだけでなく、モブキャラに至るまで「確かにそこにいる」と感じさせてくれる筆力が素晴らしいです。

 世界設定については、Youtubeの公式チャンネルで展開されている動画があります。めっちゃ格好いいのでぜひ観ましょう。

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 上記のように、ゲーム外でのコンテンツに対する力の入れ方もとんでもないです。Youtubeの公式チャンネルを貼っておきます。

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 ちらっと覗けばすぐ分かるかと思いますが、イベントごとにPVが作成されており、イベントの美味しいところをアニメ化してくれています。イベント前に公開されるため、開始前に観るとワクワク感が高められ、イベント後に見返すと、あのシーンだ!と感動を得られます。イベントだけでなく、メインストーリーの各章についてもムービーがあります。個人的に、8章のムービーは何度観てもうるっとします。

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 さらに、サブコンテンツとして、オペレータたちの魅力を高めるコンテンツも幾つか制作されています。その中でもお気に入りのものを貼っておきます。クロージャお姉様だいすき!

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 さらにさらに、各オペレータごとのテーマソングまであったりします。自分が最高に大好きなケルシーを貼っておきます。イカれてることに、この音楽はゲーム中では一切使われていません!

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 他にも、ゲーム内で使われているBGMの配信サイト(すべて無料!)や、本国で開催されているライブ公演の配信など、全力で魅力を伝えようとしてくれる姿勢に感動すら覚えます。

 

 自分は、ビデオゲームは「総合エンタメ」だとずっと思っています。残念ながら、ソシャゲでそのレベルに達しているものは多くはありません。しかし、アークナイツという作品は、間違いなく「総合エンタメ」として太鼓判が押せると思います。もっと早く初めていれば良かったと後悔しました。始めるにあたって費用はかかりません。各ストアからダウンロードさえすれば、その瞬間からこの素晴らしい作品の世界に飛び込むことが出来ます。あなたもドクターになろう!