漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

FF16感想

 先ほどクリアしたので、感想を書いておく。

 その前に、AUTOMATONでのレビューが自分の感想と近しいので貼っておく。

automaton-media.com

 

 自分は3Dアクションが本当に苦手なので、ストーリーフォーカスで初めから終わりまでずっと支援アクセサリ付けっぱなし。この状態だとプレイフィールとしてはコマンドRPGに近かった。この状態だと選択肢が殆ど無いので、コマンドRPGよりもシンプルかも。リスキーモブの一部には何度か殺されたけど。なので、アクションについては評価不能。3Dアクションが苦手な自分でもストレス無く進められたのは良かった。あとビジュアルはさすが。所々どうしようもなく見辛いのは頂けないけど。

 で、肝心のストーリー。途中までは、まあ王道で新鮮味はないものの、堅実で分かりやすいもので、不満は感じず楽しめた。しかし、クリスタル自治領あたりから雲行きがおかしくなり始め、ウォールード以降は何だこりゃと思いながらプレイしてた。息切れというよりも、変な引き伸ばしのように感じた。同じようなエピソードの繰り返しで胸焼けするかと思った。

 サブクエストも、中盤くらいまではメインストーリーに絡んだ、まさに「サイドストーリー」という位置づけで、プレイすることでより本筋の話を深掘りできる様になっていたのだけど、やはりクリスタル自治領のあたりから粗製乱造状態になってきて、ラストバトル前にはヤケクソのように投入されて、もはや作業の体をなしていた。

 世界も広いようでいて、後半になるにつれて狭さが際立ち始め、終盤は閉塞感すら感じた。ラストバトル前の、世界の隅々まで調べて戦力を整えるといった部分が結構好きなんだけど、本作では、先に書いたヤケクソ気味に投入されたサブクエストで、リスキーモブ討伐も作業感しか無かった。

 自分は、フィクション作品は「荒唐無稽さ」こそが命だと思ってる。現実ではありえないような荒唐無稽さを、いかに違和感なく物語に織り込んでいくか。それが出来ない作品は、本気で荒唐無稽さに向き合わずにお茶を濁し、結果として上滑りして軽薄なものになる。本作の後半は、まさにそういう感じ。色んな要素が置き去りにされたまま物語だけが進んでいき、描きやすく分かりやすいラブロマンスや、薄っぺらい人と人との繋がりだけに収斂されていく。とりあえずピリオドだけ付けとくか、みたいなエピソードで片付けられていくエピソードの数々。残念のひと言。

 全体的にキャラの魅力が乏しかったのも、物語が軽薄になっていった理由の一つかも。実はこうでした、みたいな取って付けたようなエピソードばかりで、人物像を深掘り出来てない。アジトのあり方は幻想水滸伝のようで期待したんだけど、「ただそこにいる」だけのキャラばかりで、愛着を感じたキャラはミドとバイロンおじさんくらいだった。特に、最重要キャラとして脇を固めるジョシュアやジルのキャラが弱すぎる。あ、トルガルは最高でした。

 やろうとしていたこと、描こうとしていたことに、実力が伴っていないといった印象。中盤くらいまでは本当に面白かった。後半はがっかり。リアルな3Dで映画のような作品に仕上げようとしたのだと思うのだけど、大長編をダレること無く仕上げるというのは至難の業だし、それを3DCGで違和感なく描き切るというのは更に無理難題なんだろう。2DのアクションRPGであれば、演技や演出をかなり簡素化出来るので、荒唐無稽さを無理なく織り込んでいけるのだけど、3DCGとなると、エンタープライズをちゃんと描くということすら出来ないし、空に飛ばすなんて夢のまた夢なのかも。

 完成度という意味では満点だけど、面白さという意味では及第点にはとても及ばない、そんな感じでした。FF7リメイクはまだ続く(はず)なので、そちらがどうなるか、かな。