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メタルマックスゼノリボーン 一通りプレイし終わっての感想その1 「射撃」という天才的な発明

 一昨日、序盤を終えての感想をアップしました。

ikedas.hatenablog.com

 

 その後、大体20時間くらい?プレイして一通り終わった感があるので、ひとまずここで全体の感想などを書いておこうと思います。

 ちなみにゼノリボーンは、その前に出たメタルマックスゼノのリメイクというか作り直しというかしたタイトルです。オリジナルのゼノもプレイ済みで、その時の感想も書いております。

ikedas.hatenablog.com

 

 この記事で書いていた欠点は、リボーンで確実に解消されていました。

 具体的にはリメインズ。「ただのコピペダンジョン」なんて揶揄されてしまうくらい酷い出来でしたが、リボーンでは趣向を凝らしたちゃんとしたダンジョンになっており、ここは間違いなく進化したところだと思います。ただ、ビッグ・アトリウムはリメインズのままになっていたように思いますが、これはあえてかな、と思ったりもします笑。

  まず全体の感想ですが、友野Dの動画でいろんな人が言っている通り、オリジナルと共通なのは舞台設定(マップ含む)くらいで、プレイした感じは完全に別物だと言っていいかと思います。

 メタルマックスの特徴として、「戦車」が出てきます。戦車が出てくるゲーム自体は、最近では珍しくはないのですが、戦車を「キャラ」として設定してあるシリーズは珍しいのではないかと思います。

 以下の記事で、本作の開発陣や制作会社のスタッフと、シリーズ初期に参加していた桝田省治が対談しています。

www.4gamer.net

 この中で、重要なやり取りがあります。

友野氏:
 「メタルマックス」シリーズのユニークなところって,どこなんでしょうね?

桝田氏:
 そりゃ戦車に乗るところでしょ。戦車と人間でパラメータが違うから。独自の世界観なんて言っても,なかなか伝わらない。

 ポイントは、戦車が「ある」「使える」ではなく、「乗る」というところだと思います。シリーズ未体験の人に説明するのは非常に難しいのですが、本作において、戦車はただの乗り物ではなく、主要キャラのひとりなのです。もちろん戦車なので喋ることはないですし、経験値を貯めてレベルアップ、というプロセスもないです。イメージとしては、魔界塔士SaGa2のロボが近いですかね。ただ、本シリーズの戦車は、ロボのようには動きません。動かすには主人公たちが乗り込む必要があります。キャラであり乗り物、という感じです。伝わる気がしない笑

 なぜこのような話を長々としているかと言うと、本作ゼノリボーンでは、この「キャラとしての戦車」という概念が次のステージに進んだな、と感じたからです。

 具体的にはどういうことか。

 まず一つ目は、本作に「射程」という概念が持ち込まれたことです。過去、メタルサーガという亜流の作品で距離の概念が持ち込まれましたが、本作では、自分たちと敵との距離がメートル単位で細かく表示されます。ちなみに、本作の敵はすべてフィールドシンボルであり、フィールドと戦闘はシームレスに繋がっています。

 ちょっと順番に説明すると、本作には「射撃」という概念があります。プレイヤーが射撃モードへ移行し、フィールド上の敵に射撃を行ってダメージを与え、倒しきれない場合に戦闘モードが始まる、という流れです。この「射撃」の際、選んだ武器の射程に敵が入らないと攻撃はできません。また、敵にも射程(索敵範囲と言ったほうが正確かな)が設定されており、攻撃を受けてもこちらに攻撃ができない(こちらを認識できない)と、戦闘モードへ移行せず、そのままフィールドに戻ります。つまり、相手の射程範囲外から射撃を行うことで、一方的に相手を殲滅することが可能なわけです。

 さらに、相手に気付かれたとしても、相手からの射線を切る、つまり、遠くに離れたり物陰に隠れたりすることで戦闘をキャンセルすることも可能です。ゲーム中は撤退という形になり、一般的なゲームでは「逃げる」と同様なのですが、本作では、撤退しても相手に与えたダメージは蓄積されたままになっています。つまり、射撃して気付かれたら撤退、という動きを繰り返すことで、一方的にダメージを与え続けることが可能なのです。

 ここまで聞くと、それっていわゆるFPSじゃないの?ってなると思うのですが、本作はあくまでもRPGです。つまり、先程から書いている「戦闘モード」に移行すると、射撃の概念はすべて無くなり、一般的なコマンド戦闘になります。

 このデザインを個人的には天才的だなと感心しました。似たような作品は他にもあったように思いますが、「戦車というキャラ」が特徴的な本シリーズにおいて、このデザインは、その特徴となっている部分をより深堀りし、シリーズを次のステージへ進めた発明なのではないかと思うのです。

 どういうことか。

 簡単に言うと、「戦車に乗っている」というプレイ感覚が、この「射撃」によって増しているのです。戦車に乗ってモンスターを砲撃する、というプロセスを、これ以上ない形で表現したものだと思うのです。

 さらに、オリジナル版のゼノから、それまでデフォルメで表現されていたビジュアルが、リアル等身の3Dに変更となりました。そのリアルさを活かすという意味でも、この「射撃」という操作は素晴らしいと思います。

 弱い敵は機銃で蹴散らし、強大なWANTEDは主砲をぶちかます。シリーズの伝統だったこのようなプレイスタイルが、本作で「射撃」が追加されたことによって、よりビジュアル的に分かりやすいものとなり、さらに、ノーガードの殴り合いでは敵わない相手でも、ヒットアンドアウェイで弱らせることが可能となり、ときにはそのまま倒せてしまう。

 「メタルマックス」というシリーズの特徴的な部分を、これ以上ない形で先に進めた素晴らしい発明だと実感できるかと思います。

 

長くなりすぎたので一旦切ります笑