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JUGEM IT! from “ウィルコムのWiMAX”とモバイルWiMAXの違い - ITmedia D モバイル

“ウィルコムのWiMAX”とモバイルWiMAXの違い - ITmedia D モバイル

技術論としては全くその通りで、異論を挟む余地はありません。

けど、ここで述べられた理屈って、PHSが出始めた時にも言われたことなのですよね。

技術的な要素としては、圧倒的にMicro-Cell方式がsmartで洗練されています。

電波の有効活用という視点で見てもそうだし、通信の可用性という観点でもそう。

唯一にして最大のneckは、言わずとしれたcoverage costに尽きます。

天下のNTTでも、すべての公衆電話機にAntennaを付けようとして失敗しましたし。

移動体通信の宿命であり、勝負の行方を決める重要な部分がここです。

しかしながら、その「重要度」も、変わるのかもしれません。

現にe-mobileは、これまでの常識を打ち破ったわけですから。

移動体通信という言葉が指し示すものが、確実に変わってきている。

その典型的な事例の一つだと思います。

このような時節において、Willcomの狙いは非常に面白いです。

記事中にもあるように、これまでの資産が「化ける」可能性が高まってきている。

もちろん、Mobile WiMAXの攻勢も、これから激化していくでしょう。

その中で、どれくらいの存在感を出していけるのかが勝負の分かれ目。

現在のCoverageを維持しつつ、そのまま次世代へ移行できれば、その衝撃は半端じゃない。

WiMAX陣営がもたついている間に、勢力図を塗り替えることすら可能かもしれないです。

そして、KDDIという会社は、それが抜群に巧い会社だと思います。

CDMA2000を考えれば、何となく理解できるはずです。

しかし、通信においてこの部分は、実はそれほど重要ではないのですよね。

速度を重要視する利用者は、恐らく10%程度。多くても20%程度ではないか。

潜在的な需要を見込んでも、3分の1にも満たないんじゃないかと思うのです。

現状のmobile contentsを眺めれば、その事実は自然と浮き上がってきます。

気軽で、軽快で、あっさりと、短時間で楽しめる。

これは、mobileというmediaの本質そのものでもあります。

そしてこの傾向は、当分の間変わることは無い部分でもあります。

社会生活の様式そのものが覆って初めて、この傾向に影響が出て来るのです。

その未来像は、少なくても、あと5年から10年はかかる。

その頃には、通信という分野そのものが、全くの別物に変わっているでしょうから。

ただ、記事のこの部分はちょっと違うかな、と思います。

そうではなく、mobile端末は、その枠が外れていく方向に進むと思います。

端末が進む、という選択もありですし、既にそういう機種も出ています。

けど、そうじゃないと思うのです。それは失敗へと向かう歩み。

そうではなく、mobileにも汎用化の波が一気に来る。

それは、SIM lockという次元の話ではないです。

PCの機能として、access moduleが搭載されるようになる。

PC cardのような外付けの機器ではなく、内蔵された形で。

現在のADSLFTTHと同じ位置に、WiMAXは来ます。

だからこそWillcomは、先陣を切って行うべきだと思います。

規格を公開し、開発環境を提供し、あくまでもcarrierに徹する。

Willcomはそれが出来る位置にいますし、しなくてはならない状況にあるはず。

全世界的な通信業界の統廃合が進んでいく中で、独自規格は非常に厳しいです。

これまでのような戦略では、歯牙にも掛からずにあっさりと消えていくでしょう。

構造的な部分を世界標準に沿わせ、物理的な部分での優位性だけを飛び抜けさせる。

そして、applicationとの親和性を深めつつ、展開と制御を容易に行う枠組みを確立させる。

自らが中心となって標準化を進めるのではなく、流れに沿って準拠していくことが重要だと思います。

それが成功すれば、一気に世界における存在感は高まるはず。

そうなってから初めて、先頭に立った標準化が可能になるのだと思います。

各分野が成熟してきているので、そろそろ「がっちゃんこ」が起こり始める頃合いです。

思ってもいなかったような組み合わせや、効率的な役割分担が加速していくでしょう。

その流れは、勢いを減じることなく、consumerの分野に浸食してきます。

業務用/家庭用の区別が薄れ、単純かつ強固な統一規格が前提として敷かれます。

その土台の上に、用途に応じて多彩に姿を変える構造が組み上げられていく。

一見するとchaosで、でもよく見れば、明確に筋道が通っている。

そんな風景が通信業界を席巻するのは、そう遠くない未来の話です。

そして、その変化が一段落する頃には、生活様式が劇的に変わり始めていると想像できます。

取りあえず、通信におけるUI部は、最終的には必ず無線になります。

ここが踏ん張りどころでしょうね。

早いとこ、通信省を作らないと駄目だと思います。