漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

Interop Tokyo 2012 3日目 「スマートハウスAルートとBルート、そしてWeb 」

過去に、少しだけスマートグリッド関係の案件に携わらせて頂いたことがあるので、興味本位で聴講しました。

まあ、他のも興味本位と言えば、その通りではあるのですけれどね。

スマートハウスAルートとBルート、そしてWeb

  World Wide Web Consortium (W3C) スペシャルセッション 12:00-12:40

 講演者:一色 正男氏 (慶應義塾大学 特任教授 / 神奈川工科大学 教授

             / World Wide Web Consortium (W3C) )

      梅嶋 真樹氏 (慶應義塾大学 特任講師)

初めに一色氏から。

・HEMSについての標準化

スマートハウス標準化検討会

 ・去年の12月に発足

 ・経産省論議では、2ヶ月で15回くらい会議をした

  → 今年の8月に間に合わせることを目標

 ・ECHONET Lite

  ・OSIのレイヤ参照モデルのうち、5~7層を既定している。

  ・通信アドレスはIPアドレスを利用し、必要に応じてMACアドレスなども利用可能

  ・家電機器だけでは無く、エネルギー機器などへの対応機器の拡張の検討が継続されている

  ・去年の12月に各社と論議をして、日本としてはこれでスタートしようと決めた

ここから梅嶋氏。

  ・ECHONETは、これほど嫌われている規格はなかった

   ・ヨーロッパでも、あれは日本だけに止めておけと言われた

   ・アジアでも勘弁してくれと言われた

  ・ECHONETは、実はIPベースで、Webなどに合わせるために進化している

   (と、一色先生に2年前に言われた)

   ・IT審議会で、ホームエナジーマネジメントを作り、公のサポートが必要なものについては、

    標準的なインタフェースを使ったもの以外は指示しない、と言ってもらった

    → 検討に3年かかるだろうと言われた

  → ECHONETとECHONET Liteは違う!

   → IPとの親和性が高い

  → 国内のHEMS事業については、今後、すべてECHONET Liteを使うことになっている。

ここから一色氏。

 ・2年ちょっと前に、とにかくECHONETは辞めろと言われた。

 ・家電機器はCPUが弱いため、IPは処理できないだろう

  → ECHONETアドレスというものを使った。

  → IPアドレスそのものは、10年前には実装できていた。

 ・いまでは戦う場所が上位レイヤの方に移っている(もはや、IPなどの下位レイヤでは無い)

 ・IPを直接使うことにした

  → ECHONET Lite

   → 世界でも画期的なことで、日本は少し先んじている。

ここから梅嶋氏。

 ・ECHONETとECHONET Liteは全然違うもの

  → ECHONETは世界で嫌われている、ECHONET Liteは世界に認められている

 ・世界と同じトレンドに乗っている

 ・世界的な企業の副社長クラスの人と話していて、かなり好感触を得ている

  → ビジネス的にも広がる可能性が高い

  → 国際標準化が取れそう(ガラパゴスになることは無い)

 ・家電業界のノウハウと、通信業界のトレンドを双方組み込んである

 ・スマートメーター(電気・ガス)

  ・Aルートは、スマートメータから電力の消費情報を電力会社に送るための道

  ・Bルートは、HEMSへスマートメーターから情報を提供するためのルート

  ・AとBがあるのは、日本での制度設計でも独特なもの

  ・BルートはHEMSに繋がるものなので、IPを使い、ECHONET Liteを使わないといけないと決定された

   → 今後、日本におけるスマートメータは、BルートでIP/ECHONET Liteを使うことになった!

  ・AルートとBルートは同じ条件でなければならない

   → AルートもBルートも、まったく同じ情報量である

   → ECHONET Liteは、仕様がオープンで手に入るものである

   → 間違っている事があれば、連絡をもらえば1週間で改善する!

ここから一色氏。

 ・HEMSにいろんなものを繋げようとしている

  → HEMSで仕様の制御をしていく

  → 太陽パネルや蓄電池、燃料電池、EV車の電池などの畜エネ機器

  → いま、業界間でのルール決めの真っ最中

   → 例えば、EV車であれば、直流で出すか交流で出すかだけでも大論争

対談

 ・梅嶋氏 :うちの会社で作ったものをHEMSに入れて欲しいという要望が多いが、対応していくのか?

  一色先生:ECHONETのマークを付けて認証していく、という動きが今年からある。

       持ってくれば、繋げて認証する仕組みを作っている。

       神奈川工科大で、その仕組みをすでに開始している。

 ・梅嶋氏 :認証センタは本物の家みたいな環境を再現していると聞いたが?

  一色先生:機械が行う側への対応については、そうでもない。

       しかし、サービスを認証できる方は、本物の家みたいになっている。

       機器を認証する仕組みやサービスを認証する仕組みを備えたセンタが10月に出来る

梅嶋氏

 ・ECHONETをガラパゴスにしてはならない!

 ・WebとTVの境界線が無くなってきている

 ・ECHONETはWebと連携していくのでは?

一色氏

 ・一色先生はW3Cのアジアの親分

  ・HTML5では、プログラム(Java Script)が動く

   → Webがプラットフォームに変わる

    → サイネージもWebでやろう

     → 家電機器も!

   → 機器との連携がテーマ

 ・通信規格:日本の得意技

  → 家電通信規格は、まだ始まったばかり(今までの通信規格と繋がると良いよね、というレベル)

 ・同じコマンドで同じものが叩ける世界ができる

  → 世界中に展開できる(市場が5倍になる!)

梅嶋氏

 ・ECHONET Liteと手を結びたい理由は、Webに展開したいから

一色氏(TVについて)

 ・Webと連携することをやっている

 ・Web&TVというフォーラムに、世界中から300人きた

 ・Webというものは、どこまでTVと融合できるかという議論が活発になっている。

  → リアルタイム同期をして、キャプションを世界中の言語に翻訳する

  → 双方向のビジネスと単方向のビジネス

   → 双方向のビジネスが、HEMSに入ってくる

 ・プラットフォームが揃って、これから始まろうとしているところ

  → 世界を相手に勝っていって欲しい!

 ・家電機器がWebと連携できる世界が広がっていく

 ・メーカがやらなくても、個々人がやってしまうような世界になっている

  → 台湾でそれが出てきている

  → 早い者勝ち、ただ、ちゃんとしていかないといけない → 日本もまだまだ勝てる

梅嶋氏

 ・台湾の機器メーカの社長が、みんなECHONET Liteを知っている

  → ECHONETコンソーシアムに参加し、認証を取っていきたい

  → ぼやぼやしていると日本が後進になってしまうのでは?

一色氏

 ・アメリカでは、Web&TVの話がどんどん進んでいる

  → 文化の差ではあるけど、日本の文化だからと言っている場合では無い

   → 社長を説得して、一歩を踏み出して欲しい

    → 大事なのは言葉では無く、それを伝える気持ち、英語は重要では無い、日本語でもいい

梅嶋氏

 ・ECHONETに関しては、重要な各国に、すべて日本語の通訳を準備している!!

  → あとは各社の意気込みだけ!

感想

 ECHONET Liteには驚きました・・・。

 2年ほど前に関わったときは、まさに「世界中からECHONETは嫌われている」という状態だったのにw

 HEMS/BEMSは、水面下でゴリゴリと進んで行っている領域なんだあと、改めて実感しましたね。

 あと、各国に日本語の通訳をスタンバイさせているという話は、本当に感心しました。

 これが、業界団体によるバックアップというものですよねえ・・・。