漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

Interop Tokyo 2012 感想まとめ

ということで、聴講した講演について記載してきました。

ここからは、自分が今回のInteropで感じたことを、つらつらと書いていこうかと思います。

にしても、全部で17の講演を聴いたわけですね・・・。

いや、なかなか頑張った。うん。

まず、なんといっても「SDN/OpenFlow」ですね。

久しぶりに到来したネットワーク業界の大波なんだな、ということがよく分かりました。

一方で、それを受けたネットワーク業界がどう変わっていくのか、ということが、

今後、非常に重要なポイントになっていくのだろうな、ということも実感しました。

これまで、「ネットワークエンジニア」は、各製品のスペシャリストという側面が大きかったと思います。

例えば、Cisco製品に搭載されている「IOS」のコマンドをどれだけ知っているか、とかね。

もうひとつ上になると、「そこにどの製品を当て嵌めるか」という機器選定も重要なポイントでした。

これこれこういう通信をさせたい、という要件から、それが実現可能な機器を選ぶ、という感じ。

さらに上には、各種設計をするエンジニアがいますね。

ルーティング、VLAN、信頼性、セキュリティなどなど・・・。

ただ、ここの領域は、ネットワーク屋さんというより、「システム屋さん」が多いかもしれません。

なぜなら、アプリケーションの動作を知っていないと、それらの設計は出来ない事が多いからです。

あと、物理的な設計・構築を担当するエンジニアもいますね。

配線とかラックマウント、エアフローとか電源とか。

ただ、これは「ネットワーク」というかは「設備」としての側面が大きいかな。

ここで、「上」と言っているのは「抽象化」のレイヤを指しています。

別に、どっちが偉いとか、そういう話ではありません。

ただ、上位側のエンジニアの方が、絶対数は少ないかなとは思います。

さて、いま盛り上がっている「SDN/OpenFlow」は、ネットワーク仮想化、というのが主題です。

仮想化、とはなにか。

簡単にひと言で述べてしまえば、「抽象化のレイヤを上げる」技術です。

さて、「SDN/OpenFlow」によって仮想化されたネットワークで、エンジニアはどうなるか?

もう、あえて述べるまでもないかな、と思います。

仮想化といえば、すでにサーバ業界のエンジニアが通ってきた道でもあります。

しかし、そちらとネットワーク業界では、指し示す場所が異なります。

サーバ業界と同列で語るとすれば、「オープン化」がそれに当たるでしょうね。

メインフレームからオープン系へとシフトした結果、エンジニアはどうなったか?

OpenFlowはさておき、SDNという潮流は、今後、確実に主流になっていくと思います。

ネットワークは、その上に何かを流すことが目的です。

である以上、流すアプリケーションによって、その形が柔軟に変わることが求められるのは当然です。

ネットワークがイノベーションの妨げになっている、という指摘は的を射ていると思います。

今回、聴かせてもらった様々な講演で、講演者は上記のようなことを一貫して話していたと感じます。

特に、NTTデータやコムといった「上位側」にいる人は、その傾向が強いですね。

一方、ベンダ各社は、その波があることを前提として受け容れ、その上でどう対応するかが焦点だったかと。

その中でも、特筆すべきはやはりCiscoで、「世界で一番、ネットワークの力を信じている」のだなあと。

ソフトウェアにネットワークが制御されるのではない。

ネットワークがソフトウェアを制御してやるんだ、といった意気込み、みたいなものを感じました。

どんなソフトウェアが来ても、俺たちの流儀で取り込んでやるぞ、といった感じ。

だからこそ、OpenFlowに対しては、一歩引いたスタンスなんだと思います。

そんなとこで止まってられるか、という感じなんでしょうね。

一方、OpenFlowで存在感を増しているNECは、通信制御側からのアプローチなのかな、と思いました。

個人的には、NECといえば、「ネットワーク」ではなく「通信」の会社です。

なので、その戦略は真っ当で正しいと感じます。

通信とネットワークの違いは何か。

人との間に、「コンピュータ」が介在しているかどうか、だと思います。

もちろん、広義での「コンピュータ」でいえば、どちらも必須なものです。

しかし、インタフェースとしての「コンピュータ」の有無は、結構大きい違いなのではないかなと。

SIerとしてのIBMNTTデータは、ネットワークをシステムに取り戻そうとしているように感じました。

プロダクトベンダに掌握されてしまった領域を、システムとして組み込み直したい、という感じ。

特にIBMは、かつてはメインフレームでITに君臨していただけに、虎視眈々と狙っているのかなと。

NTTデータはオープン系の雄なので、その流れを拡大しようとしているのかなと思います。

話が逸れたので戻します。

SDN/OpenFlowは、まだまだ始まったばかりのテクノロジィだということがよく分かりました。

今後、成長の具合がIT業界へ与える影響は、ちょっと計り知れないものになるでしょうね。

その真っ只中に立たされることになるNWエンジニアは、かなり過酷になるだろうと想定されます。

「ネットワーク」の本質に立ち返ることが重要なんだろうな、と思います。

展示会場はあまり見て回れなかったのですが、ひとつ印象的だったこと。

会場に、コンパニオンでは無い、一般来場されている女性の姿がかなり多かったです。

この業界、女性率が著しく低かったのですが、すでに過去の話になっているのかもしれませんね。

ただ、相変わらず私服率は著しく低いままでしたw

この辺は、アプリ屋さんとかOSS界隈と根本的に違うところって感じがしますね。

あと、やっぱり「メーカ」が減ったんだなあ、というのも感じました。

ソリューションベンダなどのブースが多くて、メーカのブースは本当に少なくなったと感じました。

NICTのブースをあまり見られなかったのが残念です。

JGN-Xの現状について、じっくり見たかったー。

以上、感想でした。

ネットワーク業界は、いま最高にエキサイティングな環境にあることがよく分かりました。