漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

悪いのは誰か?

むずかしー。

だから技術者は報われない - 思索の副作用 - Tech-On!

それぞれの理屈、よーく分かるんですよね。

経営陣の言い分も分かるし、技術屋の言い分も分かる。

まあ、ぼくはその業種からは、だいぶ離れちゃいますが。

「ものづくりは実に面白い。その面白いことを毎日できるわけだから、技術者の給料は安くてもいいのです。それで十分幸せなんですから」
という発言をどう取るか。

「技術者」にもいろんな種類がいると思うのです。

ものを創ることに喜びを感じる、というのが共通項。

その上で、じゃあ何を創っているのか、という階層が出てくると思います。

創る、という行為は、その種類によって前提条件が全然違う。

門外漢なので詳しくは分からないけど、半導体とかは設備投資が膨大だと思う。

となれば、その設備を準備するための資金が必要になる。

経営陣から見れば、それを準備してやっている、という気になるのも当然ではないかな。

それが「使わせてやっている」という上から目線に繋がるのも分かる気がする。

そうなれば、技術者そのものに対する費用を押さえたくもなるだろう。

ただ、この前提は、あくまでもその設備に依存するものであることは確か。

世間の進化に合わせて適切な投資を行わなければ、前提は簡単に崩れる。

これは、大学の構図と全く同じなのではないのかな、と思う。

先端技術系の大学というのは、その実験設備によって研究者を集めている、はず。

「そこでなければ出来ない」という前提があるから、そこに集まる、のじゃないのかな。

こういう環境にいる技術者がすべきは、共同の施設を建てることじゃないかなー。

会社に依存せず、その集団が優先的に使用することが出来る実験施設。

そういうのがあれば、会社側は襟を正さざるを得ない。

かつ、設備投資の負担が減るので、経営そのものの仕組みも変わる。

問題は、そこで行う特許だとかそういう部分をどうするか。

設備の種類によって、そこで行われていることって分かってしまう、はず。

ここをどうやって解決するのかが難しすぎるから、誰もやんないのかな。

資金回収をどうするのかとか、運営はどうするのかとか、問題は山積だし。

では、設備投資がそれほど必要ない分野はどうか。

これは、完全に技術者側の怠慢、と思う。

自分の腕一本で飯が食えるのなら、待遇に納得いかない時点で辞めればいい。

大工さんや板前さんとか、昔気質の職人さんは、みんなそうしてる。

会社の持っている看板を掲げなきゃ仕事が出来ないようなのは、技術者と呼びたくない。

組織の力というのは、そりゃー膨大。大きくなればなるほど、その力は増す。

でも、それが通用する分野というのは、あくまでも単純作業の分野だけ。

本当の意味で"Creative"な分野というのは、人の数は問題にならない。

まあ、出来上がった草案を形にする際に、人の手が必要になる場合もあるけど。

独り立ちするというのは、とても大変なこと。

その覚悟があるのであれば、会社を蹴っ飛ばして辞めればいいと思う。

その覚悟がないのであれば、黙って会社の言うことを聞くしかない。

会社は好きだから辞めたくないけど、待遇を改善したい、という場合も多い。

その時は、会社にとって無くてはならない人材になること。

会社組織というのは、基本的に人に依存しないように作られている。

なので、「会社」から頼られるようになるというのは大変。

けど、会社の規模が大きくなければ、それほど難しい話でも無いと思う。

何か一つ、その会社の事業において"specialist"になること。

そうなれば、そう簡単に会社は手放せなくなる、と思う。

Specialistになることが出来れば、発言力は劇的に強まる。

そうなって初めて、会社は発言に耳を傾けてくれるようになる。

会社にとって取り替えが効く人材なら、発言なんてまず聞いてくれない。

specialにも関わらず報われない、というのなら、それはサッサと辞めるべき。

本当に"special"なのであれば、どの会社に行っても重宝されるはず。

上の見る目がないなんてのは、ただの言い訳、愚痴に過ぎないと思う。

あと、それらを統合しての問題。

技術以外の事をやらせすぎ、というのもあると思う。

とはいえ、それは仕事なんだから、選り好み出来るわけでもない。

選り好みしたいんであれば、独立して好き勝手にやるべき。

これは、文筆業や音楽家、絵師なんかと構図は同じ、と思う。

ただ、それが仕事なのであれば、きちんとした対価を支払うべき。

最終的に損をするのは、経営者の側なんだから。

自分のやっている仕事は、どういう種類の仕事なのか。

自分一人になったときに、それは継続することが出来るのか。

そして、その仕事に見合うだけの報酬を得ているのか。

貰えるものが少ない、という主観的な観測だけでは、なんの意味も無い。

自分の仕事が、どれくらいの価値を生み出しているのか。

そして、その価値に自分が寄与しているのはどの程度なのか。

それを系統立てて、理路整然と述べることが出来れば、たぶん変わる。

やっても変わらないのなら、相手に聞く耳がないってだけの話。

あとは、それでも我慢して下に居続けるか、愛想尽かして出て行くか、しかない。

と、中小に在籍しているぼくなんかは思うのです。

そういうことをちゃんと理解した上で、文句を言ってるのかな、と。

もちろん、経営陣の殆どが、「経営」を理解していない場合が多いのも事実です。

けれど、だったら、分かってる人が教えてやらなきゃ変わらんでしょう。

分かっていない人が、勝手に勉強して理解するようになるなんてのは、まず有り得ない。

とはいえ、儲かってんのに分け前少なすぎじゃね?とはよく思いますけどね(笑)。

まあでも、他よりも待遇や環境は確実に良いと思ってるので、転職するつもりは無いです。

あ、大手は知りません。あんな複雑で混沌とした所は最初っからゴメンです。

あと、技術者以外の分野のことも分かりません。

他のことは考えられないので。単細胞なんです。すんませんね。

あと、「殿様くん天下ごめんネ」がおもしれー。

「アジアにおける参勤交代」ってなんだろう。読みたい。