漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

#リボーンを語る会 用に意見をまとめました

メタルマックス企画の一環として、公式よりアナウンスがありました。

 ようやくフォローバックを頂きましたので、本作をプレイして感じた意見をまとめます。

 はじめに書いておきますが、自分はこの作品、好きです。

 プレイしていて本当に楽しかったですし、「メタルマックスの系譜」として正当に進化した作品だと思っています。心からゼノリボーン2を心待ちにしています。

 だからこそ、こうしたらもっと良くなるのに!という部分が目について仕方ありませんでした。本記事は、そういう記事になっております。

 全体を通じての総評

 作品単体で見るとギリギリ「駄作」までいかない「凡作」。ゼノからのアップデートという要素を加味すると「佳作」というのが自分の評価です。

 作品単体で見たときの評価ですが、RPGとしてのボリュームが足りません。また、様々な部分で「分かってもらう努力」が足りていません。楽しさに気が付くまでの導線が整備されていないのは致命的だと思います。ただ、我慢強くプレイを続ければ楽しさは分かってくると思うので、ギリギリ「凡作」かなと思いました。

 アップデートという要素を加味したときの評価ですが、まず、システム周りを完全に刷新し、新しい地平を切り開いたことは満点評価であり、手放しで褒めたい部分です。特に、過去記事で書いた「射撃」と「クルマ移動」については、システムそのものについては素晴らしい出来だと思います。ただし、非常に勿体ない部分が散見されるため、「傑作」「名作」という評価までは至らなかった、という感じです。

 また、ソフトウェア製品である以上、バグが残ってしまっていることについては理解した上で、それでも、今回のバグについては間違いなくアウトです。自分はゲーム屋さんではないですし、プログラマでもありませんが、QA(品質保証)について、根本から見直す必要があるのではないかと思います。

要改善ポイント

 ここからは、具体的に改善するポイントについて記載していきます。

 バグについては記載しません。また、オリジナル版に起因する部分や、個人の感覚に依る部分についても記載しないようにします。

1.「基本」の徹底

  友野DのYoutubeで「基本が大事である」と何度もお話されており、とても共感していたところでした。そのため、個人的には一番残念だったところです。

 具体的にどういうところかと言うと、下記に上げる各ポイントが全て該当すると思うのですが、「理念がロジックとして統一されていない」ということに尽きると思います。「このゲームはこういうルールだよ。こういうふうに遊ぶと楽しいよ」というのが、残念ながら伝わるようなデザインになっていません。

 「基本」を疎かにしてしまったせいで、全体的にチグハグで、勿体ない出来に仕上がってしまっているように感じます。

 もちろん、開発納期や予算の都合もあったのでしょう。しかし、それを感じさせてしまっている時点で負けではないでしょうか。自分たちが届けようとしている「新しいメタルマックス」において、最低限のクオリティを確保するためには何が必要なのかを詰めきれていない。その結果、思いつきを手あたり次第に放り込んだだけ、という形に見えてしまっています。

 友野Dがリボーンを開発するにあたって大事にしていた「基本」とは何かを説明して欲しいです。

2.全体的な操作性の改善

 なにかしらアクションを行う際のキーバインドが一致していない部分が散見されます。自分が感じたところは下記です。

  • パーティの並びとアイテム使用先
  • △ボタンの操作
    (出撃カウンターではクルマの装備だが、フィールドメニューでは乗り降りになっている、など)
  • タブ移動
    (フィールドメニューの上はL/Rボタンだが、下のタブは右/左ボタン。これは、L/Rでタブ移動するよう統一し、○ボタンで遷移させるよう統一したほうがいいと思う)
  • 右ボタンの遷移
    (マップやアイテムは右ボタンで個別ウィンドウに遷移するが、データのWANTED情報やライブラリは遷移しない)

 日常的に使うメニューの操作がバラバラなのは、ユーザインタフェースのデザインとして最悪です。そんなところに習得リスクを払わせるべきではありません。

 また、アイテムソートや分類なども甘いです。目的のアイテムを探すコストが高すぎます。本作では色んなアイテムが頻繁に手に入るので、余計に煩雑になっています。更に言うと、特性が効くのが穴ごと、というチップ類のデザインも宜しくないです。これは改造でどの穴に適用させるかを選択させる形にするべきだったのではないかと思います。無駄にアイテムばかりが増えてしまい、情報処理のコストが高くなっています。

 さらに、「まんたんドリンク」などのアイテムがレアなものである以上、アイテム使用時にキャラがアクションを行うデザインは筋が悪すぎます。

 操作していて違和感を感じる部分についても改善が必要です。具体的には下記です。

  • フィールドの味方キャラに当たり判定がある
    (リアルに近づけようとした、という理由なのであれば、ぶつかる前に回避行動をして欲しいですし、そもそもキャラがすれ違えないような通路デザインがNGです)
  • 戦闘中の味方キャラに当たり判定がある
    (戦闘からアクション要素を排除した以上、当たり判定がゲーム性に関係していない。また、撤退時に味方キャラにぶつかるという挙動は、指示が届いておらず戦況が混乱している感を演出したのかもしれないが、プレイヤーにとってはストレスでしかない)
  • フィールド上の障害物の当たり判定が見た目通りになっていない
    (当たり判定が厳密でない。また、タイヤと無限軌道で、乗り越えられるオブジェクトに差をつけるべきだったのではと思う。乗り越えられそうなのに引っかかるというのはプレイ体験を損なう)

 また、過去にブログでも書きましたが、射撃やファストトラベルも1キーで可能にしたほうが快適度は確実に上がると思います。L/Rには砲塔を回すギミックではなく、それぞれファストトラベルと射撃を割り当てたほうが快適さは上がるはずです。さらに言えば、使っていないキーが多いので、移動時に×ボタンを押すと、予め登録しておける(2Rとかであったもの)ショートカットメニューが開く、といった仕組みなど、キーバインド関係はもっと練り込みが可能なはずです。

 新しく導入された要素は、先にも書いた通り素晴らしいと思います。しかし、上記のような「基本」が出来ていないため、悪い部分だけが目立ってしまう結果になっています。非常に勿体ないと思います。

3.丁寧な導線整備

 前作で違和感のあったシナリオを削除し、全体的にすっきりさせたというデザインだと理解しました。が、削除に伴うケアが全く足りていません。アイアンベースでの個別会話で掘り下げるという演出に変化しましたが、肝心の「先に進みたいと思わせる」ためのシナリオが希薄です。

 本作ではNPCがアイアンベースにしかいないため、導線を演出するのは非常に難しいところだとは思うのですが、だからこそチャレンジして欲しかったと思います。

 個人的には、賞金首とキャラクタの因縁話があれば良かったのではと感じます。

  • タリス:カタストロプス
    (オープニングでボッコボコにされるシーンがあればなおよし)
  • ヨッキィ:おチビちゃんとロンメルゴースト
    (ヨッキィが正気に戻す、さらに、ダイダロスを元に戻せなくて落ち込む)
  • トニ:ザムザ
  • ディラン:ジャック・ザッパー(サイゴンでも良いかも)
  • ミサキ:スカイスペクター
  • マリア:クラスタクイーン
  • イティカ:ザッパー・ゲンガー
    (お世話になった部隊が壊滅させられたことを知るイベントを入れるなど)
  • ジンゴロウとダヌンツィオ:イーヴルベースと終焉砲台

 大袈裟なイベントは不要で、さらっと回想や因縁話などをテキストで流す程度で十分だと思います。

 また、初めの「つかみ」が弱すぎます。いきなりデスデリバラーと交戦して撤退させ、ガンタウロスも正面から激突できる強さではない、というのでは、面白さに気がつく前に嫌気が差しても仕方ないと思います(個人的には、創意工夫しながら進むのは楽しかったですが)。

 オールドボディを初めの賞金首にするのもありだったかもしれません。クルマの入手にもうひと手間必要な構成にして、アイアンベースには「オールドボディを倒せたら中に入れてやるよ」にして、倒せたら「モンスターハンターなんだから賞金をやらんとな!」で賞金ゲット、人類が滅びてんのに金なんて、からの、システムが頑固すぎてカネを払わないとアイテムが買えないんだよ(この演出はグッドでした)に繋げるなど、もう少し劇的な導入部が必要だと思います。

 また、一連の流れで「戦車すげー!」が体感できるシーンにすることも可能かと思います。

  導入部だけでなく、いろんな「小物」についても残念な面が目立ちます。せっかく遺物やメモをあちこちに置いても、ミニマップ上に場所が表示されなければ探すことが出来ません。赤オブジェクトなどでポイントするくらいしても良かったのではないでしょうか。もしくは、どこからどう見ても何かがある、という形で表示するか。せっかく作ったのに見つけられないのは勿体なさすぎです。

 さらに、ネフテクイベントがダメすぎです。デザインとしては、東京タワーのカタストロプスに敗北してイベントが開始されるという形になっているのだと思いますが、そもそも、カタストロプスの挙動が、次に書く部分の関係で棒立ちになりがちで、まず負けません。最終戦で敗北して開始するのでも良いのですが、だったら東京タワーに出現するイベントは削除すべきです(移動した理由もよく分からない)。さらに、ネフテクをゲットしてもカタストロプスを倒せるようになるわけではないので、どこかのトンネルで存在を知る→ポM「そういえば……」という流れでも良かったのではないでしょうか。

 あとは、アイアンベースでほとんどの兵器が金さえあれば買える、というデザインは、やっぱりちょっと行き過ぎだったのではと思います。理由は、「アイテムを拾う喜び」が薄くなってしまっていると感じたためです。「先に進んで、もっと強い兵器を見つけてから再チャレンジしてみては?」とポMが言いますが、金さえあればアイアンベースで買えてしまうので、アイテムを拾う喜びが薄いです。さらに、ジャンク品(鉄くずなど)があまりにも多く、埋蔵物も多すぎる上に、ほとんどジャンク品なので、発見したときの嬉しさが無くなってしまっていると思います。埋蔵物はレアなアイテムのみとし、ジャンクはジャンク溜まりにのみ存在する、という仕様にしたほうが良いのではないでしょうか。

 金属探知機の仕様も便利ではあるのですが、掘り出す喜びは薄くなってしまっているようにも思います。これは、過去作の仕様に戻して、ピコーンの嬉しさを残したほうがデザイン的には優れていると個人的には感じました。

4.敵の挙動(索敵範囲)

 全体的に詰めが甘いです。すでに別の敵と戦闘行為が発生しているのに、のんきにターゲットラインを伸ばしているのは間抜けです。一斉に戦闘開始し、攻撃範囲外なのであれば、一斉に近づいてくるくらいのことが出来なかったのでしょうか。攻撃されているのに、すぐ興味を失ってしまうのも不自然です。

 また、一部の索敵範囲(攻撃範囲?)にバグが有るように思います。一番顕著なのは東京タワーのカタストロプスです。さすがにバグだと思うのですが、意図してそうしているのであれば、その理由を知りたいです。

5.大味すぎる戦闘バランス

 これは自分が理解できていないだけかもしれませんが、戦闘のチューニングが甘いです。中でも、人間レベルを上げてもダメージ量に変化がない(ように思われる)点と、クルマ装備の属性攻撃に有意と言えるほどの効果が感じられない(ように思われる)点、バッドステータス系の攻撃効果が実感できない(ように思われる)点の3点は深刻だと思います。人間武器の属性攻撃は結構顕著な差があったように思うので、クルマ装備もエゲツないくらい差別化しても良かったのではないかと。

 射撃という概念を取り入れたシームレスバトルという仕組みで、「戦闘前」の試行錯誤はかなり幅が広がったと思うのですが、いざ戦闘シーンに突入したあとは、強い主砲を連打するだけ、あとは耐久力勝負、みたいな大味な内容になっているように感じます。これは過去作でも似たようなものであるといえばその通りですし、そもそもバランス調整が不可能なゲームデザインになっているため、難しいところだとは思います。ただ、武器間のトレードオフが上手く機能していないように思います。初期の頃にあった下記のデザインを進化させる方向で検討いただけると個人的には嬉しいです。

  • 主砲は単発の破壊力が抜群で特殊砲弾が打てるが弾数は少なく範囲攻撃も不可
    (特殊砲弾は主砲の種類で打てる弾が決まる)
  • 副砲は破壊力は控えめだが弾数無限かつ範囲攻撃や複数攻撃も可能
  • SEは範囲攻撃や複数攻撃が可能で破壊力もそこそこだが弾数が少ない

 過去の記事で書きましたが、クルマのキャラ付けは移動時の挙動で付けられるようになったと思うので、Cユニット特性や特殊チップについても減らす方向でも良いのではないかと思います。具体的には、連射系の能力は無くすべきではないでしょうか。デザインがシンプルになりますし、バランス調整等も容易になると思うので。

 個人的には、人間キャラも初期のハンター・メカニック・ソルジャーで、スキル制は廃止で良いと思っています。ただ、キャラメイクをしたいという人も多いですし、3からファンになった人にとっては、単に要素を削除したようにしか見えないので、難しいだろうなとは思います。初期のパーティメンバーのバランスは本当に完璧で、デザインとして美しかったです。単なる懐古主義かもしれませんが。

 ちなみに「難易度」ですが、単に敵のHPと攻撃力をインフレさせるだけという仕様は、そろそろ見直しても良いのではないでしょうか。それは「難易度」ではないと個人的には思います。後述する「サバイバルモード」は、難易度の仕組みとしてよく出来た仕組みですので、こちらの方面で進化させていく(補給回数や買い物できる範囲を制限していく)のが良いと思います。ぶっちゃけ、「難易度」は「縛りプレイ」と同義だと思うので。「強くてニューゲーム」を不可(ただし各種データのみ引き継ぎ)にすることで、純粋な「ゲームの難易度」を上げることが可能になると考えます。その代わり、過去作にあったような「エンディングのタイミングを任意に選べる」ようにして、本作のリポップの仕組みを活かすことで、従来どおりの「難易度アップ」も継続できるのではないかと考えます。本作を例に記載してみます。

  1. カタストロプスの残骸から、モンスターの強さを弄ることが出来る装置を発見
  2. ジンゴロウがマッドサイエンティストっぷりを発揮し、敵の強さを限界以上に引き上げることが出来るようになってしまう
  3. 次にリポップするときから、敵の攻撃力とHPを引き上げられるようになる
  4. リポップした敵から、その敵の能力アップに使うチップを入手
  5. チップをジンゴロウに渡すことで、さらに敵の能力をアップできる
  6. 任意の強さに下げることも出来る
  7. 最終的には、禁断の装置の魅力に取り憑かれてしまったジンゴロウが裏ボスになる(それはいらない笑)
  8. アイアンベースでダヌンツィオに話しかけると、「次の場所へ向かう」という選択肢が追加されており、それを選ぶとエンディング

6.サバイバルモードについて

 過去記事でも書きましたが、この存在が一番もったいないと感じたところかもしれません。ここまでに挙げた問題点のすべてが、このモードにとってマイナスに働いています。

 そもそも、「サバイバルモード」自体の練り込みも足りていません。これも過去記事で書いたことの繰り返しになりますが、「完全回復だけが出来ず、ショップでの買い物は普通に出来る」というのは「サバイバル」ではないです。

 

 最後にもう一度書いておきますが、自分はこの作品をかなり気に入っています。

 メタルマックスの系譜を正統に受け継いで進化した作品だと感じています。

 だからこそ、勿体ないところが沢山目について、結果として、これだけ長文の記事を書き上げることになりました。良質なプレイ体験が伴っていなければ、ここまで長文を書く気力なんて起きません(ちなみに3時間位かけてます)。

 公式チームには皆さんの意見を真摯に受け止め、より良い作品を世に出すことで、期待に応えていただきたいと心から思っています。

 

 参考までに、過去に書いた記事を以下に記載しておきます。

 お時間がありましたら、合わせて目を通して頂ければと思います。

ikedas.hatenablog.com

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