漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

小沢代表、辞任

そうか、結局逃げるのか、というのが最初に感じた素直な気持ちでした。

テロ対特措法延長に反対した時から、何を狙っているのか分からなかった。

民主党であっても、この重要さに気付かないはずはない。

文句を言いながらも、最終的には妥協する方面で調整するのが筋だと思ってました。

あそこまで突っ張る理由が、本当に分からなかったのです。

小沢氏は、自民党時代でもTop classの政治家でした。

ということは、政治家としての{{したた}}かさや狡さを確実に備えているはず。

また、インド洋での給油活動の重要さも、よく分かっていたと思います。

それが、こんなはちゃめちゃな選択をする、その背景が見えなかった。

連立の話が出た時に、なるほど、これがscenarioだったのか、と思いました。

小沢氏は、最終的には自民党に戻りたかったのかもしれないなぁ、と。

「復党」という選択肢は100%有り得ない以上、連立という形しかない。

福田総理としても、このscenarioを走らせるだけの価値を見た。

政権与党の党首として、それは当然の選択。

目前にある、さまざまな問題を一気に解決出来るわけですから。

かなり大きなriskに見合うだけの価値を見出したのだと思いました。

むろん、連立は良いことだらけではありません。

民主党の影響力は大きいし、政策決定は難しくなる。

だから、その後のscenarioは、予算成立後にでも予定調和の喧嘩別れを起こす。

あとは衆議院解散総選挙へとすすみ、ガチンコで戦う。

自民党が勝てば良し、もし負けたのなら、福田総理はそのまま降りる、と。

これは、非常に滑らかでsmartな方法だと思います。

けれど、この流れは、民主党自身の反発で簡単に頓挫してしまった。

結局、古い時代の政治家であった、ということなのかもしれないです。

連立を蹴るのなら、自民党に対抗するための対案を練らないといけない。

それが、参議院で第一党であるということです。

インド洋の給油活動についても、自民党とは違う方向での対案を出さなきゃいけない。

参議院選挙での大勝は、「民主党への賛同」ではなく「自民党への反発」だった。

その事を一番分かっていたのは、勝利の立役者と呼ばれた小沢氏自身と思います。

結局、表ではその実力を発揮出来ない種類の政治家だった、ということなのでしょう。

党首の座を降りることで、手練手管を最大効力で発揮出来るようになる。

まだ、それほど大事になっていない今のうちに、逃げ出すつもりなんだと理解しました。

ここまで書いたところで、記者会見が始まりました。

なるほど、ただ逃げ出すわけではないのだな。

現在の「民主党」に失望したのだな。

失望と同時に、予想しているよりも能力が上がっていることにも気付いた。

自分の力だけで引っ張りきれない。

けれど、自分の戦略を理解出来るだけの能力はない。

それが分かったから、戦線離脱することに決めた、という感じ。

腹芸は健在だし、野心もまだ費えているようには見えないですね。

だから、「逃げる」というよりも、「戦略的撤退」なのかもしれない。

票田へのappealとして、この行動はかなり高度な気がします。

ただ、結局のところ「壊し屋」であることには変わりないですね。

民主党の幹部たちは大童{{おおわらわ}}だろうなー。