これからのbusiness
読んでいて、とても痛快でした。
仕組みの変革は、じわじわと、確実に始まっていますね。
「着実な歩みで世界を席巻」 (サブプライム後の世界経済):NBonline(日経ビジネス オンライン)
結局の所、冒頭での発言に尽きると思います。
最近の資本市場は、急成長偏重主義に囚われているということです。成長主義の害が、組織の上層部から外側に移った、ということですね。
成長主義は害悪なんかじゃないです。
健全な市場には競争がなければならないし、競争に勝つには成長がなければいけない。
成長しない人物は、一般にはボンクラと呼ばれると思います。
何が害悪かというと、「成長」を見極められないこと。
資本主義というのは、資本を持っている人が王様です。言うまでもなく。
そして、資本を持っている人は、資本についての知識しか持っていないことが殆どです。
それも、別に悪い事なんかじゃないです。むしろ当然。
問題は、知識のない人が評価をしているという事実。
資本家の尺度では、計れないようなものも多い。
特に、中小零細の現場においては、その傾向はより強くなるでしょう。
ここで、この記事を。
キャピタリストの視点 > 自分のために働け! : ITmedia オルタナティブ・ブログ
世の中には、いろんな人がいます。もう、本当にいろんな人が。
その「いろんな」というのは、「価値観」も当然のごとく含まれます。
お金を大切にする人もいれば、時間を大切にする人もいる。
本当に、いろんな「大切」が世の中に満ちているのです。
けれど、「お金が無ければ負け組」という風潮が蔓延してしまった。
この傾向によって、お金以外を大切にしたい人はどうなったのか。
そういったものの好例が、以下の記事かと思います。
“沈没”したクライマーが漕ぎ出す、スカイブルーの海 (降旗 学の「長目飛耳」):NBonline(日経ビジネス オンライン)
ちょっと事例はずれているかもですけれど。
文化的な成熟が高まったとき、その先にあるのは細分化&先鋭化です。
より細かく、より深く、世界は分割されていきます。
その社会において、必要なのは俯瞰し、支える役目です。
そのような役目を担えるものがなければ、社会は空中分解するでしょう。
この役目を担えるのは、森精機のような「基礎」を怠らなかった企業しかない。
「基礎」というのは、一見すると極めて地味です。
しかも、その結果が目に見えるのは、発足から大分たった後であることが殆ど。
そのような状況において、適切な評価を下すというのは至難の業です。
AmazonやGoogleという寵児たちも、出始めは非常に地味だったことを思い出します。
ある日突然脚光を浴び、そのときには、誰も追いつけない独走状態になっている。
突然現れたように見えても、それまでには、地道で地味で儲からない歴史がある。
あえて「日本の」を付けますが、日本のITに足りないのは、ここだと思います。
そして、いろんな分野で失われつつあるのも、ここだと思います。
どんな分野でも、基本があって応用がある。
その基本を大切にしなければ、応用が伸びるはずはないのです。
どんなに高度に専門化されていても、この図式は全く変わりません。
一足飛びの専門家なんてのは、存在し得ないのです。
それは、天才と呼ばれる人種であったとしても同様。
世界が広がりすぎて、目が行き届かないのが現状なのでしょう。
資本主義の基本原則は、「分割して統治する」だと思います。
もっと細かく分割して、担当を増やした方が良いんじゃないかなー。
変に集約して身動きが取れなくなるよりも、その方が絶対に健全だと思います。
きちんと分割して、それを適切に纏め上げて管理する。そういう仕組み。
重要なのは、「纏め役」は大きくある必要はない。むしろ小さくなきゃいけない。
小さい粒が幾層にも重厚に積み重なっているピラミッド、というのが理想の筈です。
そういう意味では、水平分割と同時に垂直統合も進める必要があるのです。
縦糸と横糸を適切に組み合わせることで、始めて「社会」は動き出すのだから。
業界再編とか言ってても吸収合併だけじゃ、先に待つのは緩慢な死だけなんじゃないか。
あくまでも「資本主義」を続けるのであれば、「巨人」は分解して散らさなきゃ。
とにかく「水」を循環させ、いつでも新鮮な状況を保たなきゃ駄目だと思います。
それぞれがそれぞれの「場所」で、果たすべき役割をきちんと果たせる社会が良いな。
たぶん、それが「幸福」って事だと思うので。