漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

米マイクロソフトがヤフー買収案、総額4兆7500億円

なんか、見渡す限りこの話題のようですね。

落ち着いてみないことにはアレなんですが、所感を書いてみる。

完全に私見なので、デタラメだ!とか怒っちゃ駄目です。

広告云々だとか、対Googleだとかが目的だと書かれています。

でも、実は違うんじゃないか、と思います。

たぶん、Yahoo!という存在に対する見方が違うのでしょう。

Microsoftは、言うまでもなくOS提供企業の最大手です。

それはつまり、現状における「リアル」最大手ということになります。

さらに突っ込むと、それはPCという「Contents」における最大手だということ。

PCというのは、現在のIT周辺において、圧倒的な場所を占めているわけです。

厳密に言えば、ITという枠で括っちゃうと、ちょっとアレなんですけどね。

ここでは、世間一般的な認識によるIT、ということで進めていきます。

まあ、つまりMicrosoftというのは、「現在の」ITにおける最大手、と言えます。

これは、言わずもがなな事であることは分かってますが、一応。

そして、一方のYahoo!

Yahoo!っていうのは、"Searcher"では無いと思っていました。

そもそも、Googleと同じという位置は違うんじゃないかと思うのです。

土壌が同じで、収益構造も似ているため、一見すると同じように見えます。

けれど、目的としている部分は全然違うのではないでしょうか。

それは、歩んできた歴史だけじゃなく、Top-Pageを見比べただけで一目瞭然だと思います。

http://www.yahoo.com/

http://www.google.com/

どうですか?

明らかに、その向いてる方向が違うんじゃないか、って感じませんか?

だから、Yahoo!Googleは、その立ち位置からして完全に分ける必要があるわけです。

そしてMicrosoftは、もう完全にYahoo!側にいる企業なのです。

いや、Yahoo!Microsoft側にいる、と言った方が確実ですね。

MicrosoftGoogleを脅威と感じている、という事は確かなのだと思います。

けれど、それに対する策としてYahoo!を買収する、というのは半分しか当たってない。

Microsoftの狙いは、IT周辺の最大手で居続ける、という事だと思います。

WWWの出現によって、ITという世界は劇的に様変わりしたように見えます。

けれど、その大部分は錯覚に過ぎず、ただ単に世界が拡大しただけです。

ITという世界そのものには、現時点ではなんの変化も見られない、と個人的に思っています。

では、何が脅威なのか。

Google次の一手が脅威なのだと思います。

WWWという世界を手中に収めつつあるGoogle

彼らが次に狙うのは、Off-lineの世界であることは自明です。

その時になって慌ててみても、すでに手遅れになることは、MSは身に染みて知っている。

そしてまた、Off-lineの世界は、MSにとっての本拠地です。

となれば、あとは「攻撃は最大の防御」ということになる。

攻め込まれるのを待っているのではなく、むしろこちらから攻め入る。

それが、今回の買収劇、その真相なのではないかと思うわけです。

じゃあ、結局はGoogle対抗なのではないか?

要はそういうことになります。

ただ、その争いの焦点は、企業対企業ではなく、戦場を巡る駆け引き。

ここで、Yahoo!の価値観が全く介在していないことが重要だと思います。

巨大すぎる買収額の前には、買われる側の価値観なんて無意味だからです。

MSにとって見れば、Yahoo!は足掛かりであり、将来の武器でしかない。

ある意味、Windowsという存在と同じなのです。

そしてYahoo!にとっては、その巨大な壁をどうするのか、という選択しかない。

資本主義という絶対的な取り決めがある以上、まずは選び取らなきゃいけない。

Yahoo!の意志は、その次の問題なのです。

この買収は、Googleの対抗策によってのみ結果が決まるように思います。

米司法局への介入要請に成功するかどうか。

もし失敗したら、自動的に買収は成立するんじゃないでしょうか。

Googleって、こういう部分の立ち回りも上手いからなー。

でも、それ以上にMSの方が上手いような気もしますね。

個人的には、この買収は成功して欲しいな、と思います。

そんでもって、米国企業同士で潰し合いしてくれればいい。

その隙に、日本独自のContentsHolderを確立させて、気付いたら寡占、という展開。

まあ、欧州も同じようなこと考えてるんじゃないかなぁ。

ということは、駆け引きの展開も大変なことになっていきそうですね。

最悪なのは、巻き込まれて振り回されてボロボロになる、という展開。

とはいえ、いままでの展開は悉くそれだから、ちょっと危険な香りも漂ってたり。

上手く立ち回って、美味しいところに落ち着けることを願います。

気付いたら2強しか選択肢がない、とか嫌ですからね。