漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

地方再生物語

ついに完結です。

過疎に悩んでいる地方の方に、ぜひ見て欲しい記事に仕上がっていると思います。

地方再生物語 (地方再生物語):NBonline(日経ビジネス オンライン)

米という軸を基点として、地方が再生する様をよく捉えています。

ぼくが過疎地出身なため、地方再生というのは心惹かれる言葉です。

地方というのは、決して都市部の影で落ちぶれていくようなものではありません。

都市部との対比によって、その素晴らしさはより際だっていくと思います。

地方だからこそ出来る事というのは、絶対にあるはずなのです。

それは、風土であり、文化であり、生活です。

その場所でなければ為しえない事というのは、絶対にある。

ITの発展は、距離の短絡をもたらします。

それは、情報単価の劇的な値下がりを呼びます。

都市部が都市部である理由は、そこが情報の源泉だからです。

情報とは、人々の営みから生まれ、全ての出発点となるものです。

しかし、あらゆる物事は、出発点が終着点になんてなりません。

期間の長短はあれど、そこには「継続」という間が必ず存在します。

その間は、時には成長と呼ばれ、あるいは堕落と呼ばれます。

つまり、創出と終焉の間には、なにがしらの変化が絶対に起こるのです。

生まれた瞬間から消え去る瞬間まで、変わらないものなんて無いと思います。

その「変化」を知ること。それが、情報という概念の本質であると考えます。

そして、お金を稼ぐということは、この変化を読んで先手を打つ事が何より肝要です。

もちろん、成功するためにはそれ以外の要素も必要です。

けれど、情報を迅速に、かつ的確に掴むことは、明らかな優位点を得ることに繋がる。

だからこそ、人が集まるというその事によって、さらに人は呼び寄せられていきます。

ところが、この「情報を知る」という行為が、ITの発展で形を変えつつあります。

情報と一口に言っても、その種類は本当に千差万別です。

また、一番乗りを果たすことが、必ずしも有利にならないことも多くなりました。

そうなったとき、都市部にいることが有利にならない分野も増えてきたのです。

Mass mediaがcontrolする「時代の潮流」は、その威力を失いつつあります。

個々が自らの価値観を、自らの歴史と照らし合わせながら構築することが容易になったのです。

Internetには、もはや見渡せない程の情報が溢れています。

それは即ち、選択肢が無限に存在しているという事と同義です。

何を選び取り、どれと組み合わせていくのか。

それは、個人の裁量へと完全に委ねられるようになったのです。

もちろん、情報源となる一次情報自体には、それほどの変化はありません。

けれど、一次情報というのは、基本的には無味乾燥な塵芥に過ぎない。

その素材に味付けすることで、情報そのものの性質はガラッと変わります。

そして、「味を付ける」という行為には、ある種の芸術的素養が必須です。

新聞などの記事は一次情報なんかじゃありません。

人々が享受する「情報」の殆どは、調理済みの情報なのです。

しかし、そういう「目に見える情報」以外の情報を、我々は常に受け取っています。

それらの「景色」というのは、揺るぎない一次情報です。

その「景色」から感じる何か。それは、個々の感受性以外の影響を受けません。

そして、その「何か」の積み重ねが、「個人」という存在を彩っているのです。

現在の文化は、近い将来、完全に飽和するでしょう。

人工的な「景色」には、どうしようもない限界が確固として存在しています。

非効率、という言葉でも覆い尽くせない程、人の目から見た自然は乱雑です。

人類が生み出す文化というのは、その乱雑さを整理整頓する、ということ。

効率的な方法論というのは、辿る経路は違えども最終目的地は常に一定です。

となれば、人が創っていく文化の終着点は、既に確定していると言えるのかもしれません。

そんな効率化が進んだ人工的な風景も、ある意味では自然なものだと言うことも出来ます。

しかし、それでも人間というのは、自然界の存在に過ぎません。

その場所に適合することが出来ない人種も、相当数が存在し続けるでしょう。

そんな「異端」を吸収できる場所が、地方という場所である筈なのです。

これまでの地方には、情報格差を始めとして、多くのものが足りませんでした。

しかし、Internetの出現によって、その不足分は急速に埋められつつあります。

そして、今後もその傾向は、ITのさらなる発展によって加速していくでしょう。

そうなれば、都市部と地方の住み分けというのが、より明確に現れてくると思います。

必要なのは、その場所に対する誇り。そして、絶対に揺るがない信念。

住人たちがその矜持を捨てない限り、その場所が死に絶えることなんてあり得ません。

その先駆け的な動きとして、これらの記事は重要な資料となると思います。

ぼくも、現在は都市部で勤務しています。

NetworkEngineerという職業で食べて行くには、今のところ都市部しか選択肢が無いから。

けれど、ITの発展が細部にまで広がっていけば、地方にも食い扶持は生まれてくるはず。

夢は、地方自治体のinfrastructureをproduceし、管理していくことだったりします。

出来るのなら、過疎地の復活を支えられるような存在でありたいな、なんて。

表舞台で何かをするのはどーも性に合わないので、裏方で地味ーに活動してたい。

まー、そこまで行くのに、あと何年かかるのやら、という気もしますけれどね。