漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

酷い題名だけど

中身は面白かったです。

まあ、このメンツで詰まらなくなる事も考えにくいのですけれど。

東方の三賢者が贈る、日本へのアドバイス──中島×小飼×津田・鼎談

しっかし、「東方の三賢者」は無いよなぁ・・・。

津田氏もTwitterで書いてるけど、あらゆる面に配慮を欠いた題名だと思う。

満足してるのは編集部だけかな。恐らく、記者も憤ってるような気がする。

中編で書かれているように、これからは「個」への移行が加速していくと思います。

特にITの分野では、その傾向が激しくなっていくはず。

「独立しない理由」が見当たらないですから。

よっぽど厚遇して囲い込まない限り、組織に属するmeritは減少するしか無いでしょう。

特に優秀な人ほど、その事へ自覚すると同時に独立していくと思います。

はてなの近藤氏も書いていますが、ITの本質は建設業です。

建築と土木を足し合わせた感じ。

IT土方なんて含みを持たせて呼んだりしてますが、別に蔑称じゃないと思います。

仮想世界に道路を造り、橋を架け、構造物を建てるのですから。

建設の世界は、大手のgeneral contractorばかりが目立ちますけど、実態は違うはず。

頂点にある設計や意匠の部分は、殆どがstand playだと思います。

また、末端部の「親方」も、一人親方なんて言葉があるように、個人に近い場合が多い。

数が必要なのは、これらを繋ぐ中間の部分だけ、というのが本当のところだと思います。

ITの世界も、この方向に向かって進んでいることは明らか。

"Engineer farm"みたいなのが、そろそろ出てくるんじゃないかなー、とここ数年思っています。

中編にある津田氏の発言を引用すれば、

日本のアーティストもそうで、やっぱりエージェントやプロデューサーといった、ビジネスなどをサポートする裏方の人間がいてくれたほうがいいと思います。技術者にもいると思いますが、すごいものを創り出すんだけど人間としてダメというのはゴロゴロしてますから。
ってことです。

「人間として駄目」というよりも、社会生活に適応できない、という方が正しいかな。

礼儀正しくて、人間味に溢れていて、優しくて心配りも出来る。

そういう意味では、誰よりも「出来た」人であったりもすると思います。

まあ、その人と「合う」ひと限定での話ではありますけれども。

けれど、お金を集めてきたりであるとか、あと「大人のつきあい」ってのが出来ない。

さらに、理不尽なことには我慢できないし、口の利き方も知らない。

才能がある人ほど、そんな感じになっていることが多いように感じます。

ここをfollowしてくれるような緩衝役が、個の時代には絶対に必要。

どこまでも行っても、やっぱり人は独りじゃ生きられないわけで。

となれば、そういう部分を一手に引き受ける"production"みたいなのが出てくるはず。

これは、別に新しくも何ともない、普通の工業社会における側面だと思います。

扱う「製品」の種類が変わるだけの話です。

あと、後編で小飼氏が述べているこの発言、非常に重要だと思います。

政治を見てみても、民主主義で物事を決めるとなると、若者の絶対数の少なさがネックになる。「多数決やったら、負けるのは君たち」ってことの重要性に、若者の大多数が十分気が付いていない。
これ、本当に重要な問題提起だと思います。

彼らは数的にはマイノリティーだからね。若者が少ないというのは、病害とか戦争がないと起こらなかったんですよ。これは未曾有の経験かもしれない。

かつて若者はバカで多数派で、搾取しても搾取しきれない存在だったからよかったんだけど、これからは違う。人口分布が「逆ピラミッド」になってしまったら年金に代表されるような社会システムはどうしたらいいのか、というのを考えなければいけない。

ぼくらの世代は、基本的な社会構造そのものが大きく変わっていく節目にいるわけです。

その事への自覚と、どうすれば「よりよい未来」を迎えられるのかの考察。

いまの情勢における支配層は、これから消えていく世代のまま変わろうとしていません。

旧い世代が全滅するわけでもないですけれど、明らかに、構造は変わっていく。

いままでは、少なくともminorityが支配者層だったと思います。

食物連鎖のpyramidが、一応それなりに形を為していた。

もちろん、そこにも問題はありました。少しずつ解消してきていますけれど。

その解消の歴史が、そのまま人間の歴史と言っても良いと思います。

けれど、これから来るものには、その解決策が一切通用しないでしょう。

本当に手探りで、闇雲に、場当たり的に対処していくしかない。

こういう情勢において、「組織」或いは「共同体」は、その真価を確実に問われます。

そして、「新しい弱者」を求めて、国家という枠は徐々に緩んでいくように思います。

混乱する社会情勢において、台頭する勢力は大きく2つに分かれると思います。

凄まじいまでに肥大化して、その圧倒的物量で大部分を配下に置く「帝国」。

限界まで脂肪を削ぎ落とし、その爆発的な機動力で世間を縫い歩く「都市」。

この二つの両極端に、世界情勢は分かれていくんじゃないかと予測しています。

紆余曲折が色々とあるとは思いますが、今世紀末くらいに大勢は決まるんじゃないかと。

個人的には、「都市」の方に属する人でいたいなぁ、と思っています。

その為には何が必要で、どう行動していくべきなのか。

それを模索している日々であります。