漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

情熱の向かう先

最近の風潮って、どうも勿体ないよなー、と悶々としていました。

この対談を読んで、そうそう、そういうことなんだよな、と我が意を得た気分。

梅田望夫×まつもとゆきひろ対談 第2弾「ネットのエネルギーと個の幸福」(前編):ITpro

 もうひとつはネットの動きなんですけど,「祭り」ってあるじゃないですか。炎上とか。あれってネットにはすごいパワーがあることの現れだと思うんですけど,往々にしてネガティブに出てしまうんですよね。あのパワーをポジティブに持っていくコツとか秘訣ってないんだろうか。

 せっかくのパワーが,「壊す」とか「傷つける」方向に働くのはもったいないので,それをポジティブに使う方向はないだろうか

というのが、まさにそうです。

ほんと、勿体ないなぁ、と思うのですよね。

その情熱は、もっと他に、幾らでも有効に使える方向があるだろうと。

負の方向に進んでしまうというのは、見えない誘導灯みたいなものがあるんじゃないかと思います。

何も意識しないと、自動的にそちらの方向に向いてしまう、といった感じで。

その誘導灯を見つけ、向き先を変えることが課題だよなー、と思います。

多分その誘導灯は、「常識」みたいな形で立っていると考えられます。

その灯りを立てた当初は、その方向に向かうだけの理由があったのでしょう。

けど、その当時のネットというのは、今とは似ても似つかないものだったはずなのです。

たかだか10年くらい前のネットを思い浮かべてみても、もう全然違います。

その頃が良かった、なんて話をしているわけではありません。

今の方が、文化的にも機能的にも充実していることは、誰にも否定できない。

ただ、そこを支配している観念だけが、古いままなのではないかと思うのです。

古い概念は無条件で悪い。新しい概念は絶対に正しい。

そんな認識は、改めて言うまでもなく間違いです。そして、その逆もまた然り。

何か新しい概念が出て来たら、きちんと検討して取り入れるべき所は取り入れる。

それが、文化の発展を支える、根本的な部分のあり方なのではないかと思います。

Softwareの開発なんてのは、まさにこの手法をそのまま取り入れているはず。

Applicationやserviceだけではなく、概念や常識というruleも平行して作られる。

本来、前者を成立させている背景として、ruleは無くてはならないもののはずです。

そうである以上、必然的に、技術と観念は平行して進化していくものだと思います。

それが小さな世界であれば、その背景は言わずもがなで伝わるものだったはず。

ところが、これだけ爆発的に広がってしまうと、その背景を読めない人も増えてくる。

その段階で、本来であれば「翻訳者」が出てくるはずなのです。

ところが、翻訳者と呼べる存在は、いつまで経っても出現しなかった。

その理由は様々に考えられます。進化の速度が速すぎたとか。

けど一番の原因は、人口分布の偏りが大きすぎたって事だと思います。

あまりに閉鎖的な世界で、純粋培養に近い形で発展を遂げてしまった。

けど、そんな内情を知るはずもなく、NetworkやComputerはどんどん大衆化に進みます。

新規参入の人たちにとっては、technicalな部分の理解は不必要なものと化していく。

そうなると、余計にその背景にあるものは、さらに一般には知られなくなっていく。

そういった部分を、誰もfollowしてこなかったというのがあまりに痛すぎると思います。

ものごとの道理っていうのかな,ある現象があるときに,それはこういうことなんだ,世界はこういうふうに動いているんだということは、本当にわかっている人から、その人の言葉で説明してもらわないとわからない。
ということだと思います。

記事の中では、この文が差している対象は違いますけどね。

もっと早い段階で、ネットは社会に組み入れなきゃいけなかった。

社会に組み入れられない事は、反社会的ってことかという印象を抱かせます。

その背景が、ネットを負の方向に向かわせる要因になっているのではないか。

もちろん、ネットの全てが負の方向に向いてるわけではありません。

個別の事例を見れば、より良い方向に進むことが出来た事例も山ほどある。

けれど、大きな塊としてのenergyが産まれた時、その殆どが負の方向を向いている。

日本のネット状況を観ていると、そんな気がして仕方ないのです。

そのことに、ただただ勿体ないなぁ、と哀しくなってしまうのです。

けど、この流れも長くは続かないと思います。

歪な構造であることは、たぶん、多くの人が薄々感じ始めてきているはずだから。

業界があまりにも巨大化してしまったから、簡単にはいかないとは思います。

けれど、

ある意味,オープンソースだと受け入れにくい企業体質ってあると思うんですよね。それはそれで仕方ないんですが,それなら不満を持った技術者が,上司をがんばって説得して,だめだったときには転職したらいいんじゃないかって常々思うんですけど,そうはしないんですね。
という状況そのものが、まず先に変わると思います。
もちろん小さいところは大企業に比べたら不安定かもしれませんけど,小さなところでも面白い企業はいっぱいあると思うんですよ。
というのは本当にそうなので、技術者の流動性は、今後、一気に高まると思います。

そして社会構造が変われば、必然的に場を支配するruleも変わっていくはず。

要は、変わるための切っ掛けを待っている、そういう状況と思っています。

何かの切っ掛けで、パタパタとドミノが倒れるように切り替わるんじゃないかな。

最終的にはいろんな業種を巻き込んで、全く新しい構造が出てくると思っています。

みんなが幸福になりたいと思っているのであれば、向かう先は自ずと決まってくるはず。

あとは、早いか遅いかの違いだけなので、出来れば早くしたほうが良いよね、と。

まあ、そんな風に思うのです。