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JUGEM IT! from おもしろさは誰のものか:“同人出身”ガイナックスが語る、同人誌のグレーゾーン (1/2) - ITmedia News

制作者からの視点として、とても良い記事だと思います。

おもしろさは誰のものか:“同人出身”ガイナックスが語る、同人誌のグレーゾーン (1/2) - ITmedia News

問題点を、的確に指摘してますね。

この問題がいかに難しいのかを浮き彫りにしていると思います。

例えばこの部分。

ただ1000冊単位で買い取って、それを販売するといった状況ですと、それはもうファン活動ではない。ビジネスだろうと思うんです。
量の問題、と一口には言えないですが、まあそのようなことです。

限度ってものがあるよね、という事だと思うのです。

好事家達が寄り集まって、身内でわいわいとやってるうちは、お目こぼしも出来る。

けど、その好事家達が作った二時創作を、第三者が商品として流すのは駄目ですよね。

自分を制作者の立場に投影してみれば、その気持ちは容易に理解できると思います。

そしてもう一つ。

「俺たちがコピーをするのは、DVDが高いからだ」という人がいらっしゃいますけど、しかしそれは僕は、8割はウソだと思うんですよ。そういう人たちは、たぶん安くても買わない。むしろ安くなったときになにが起こるかというと、DVDの価値を軽くみて、より気軽にコピーするようになって、もっともっとコピーをばらまくと思います。あの方々は。
これは真理。

散々言われてきたことではありますが、間違いなく真理。

本当に欲しいものであれば、消費者は多少値段が張っても絶対に買います。

まあ、さすがに限度はありますけど、価格が障害になることは、本来は少ないはず。

そうでなければ、数々の「ブランド品」がなぜ売れるのかの説明が付きません。

他に代替品があるのにも関わらず、なぜ高価な「ブランド品」を選択するのか。

まあ、日本人は、この部分が未熟だってのも、その通りではあります。

でもそれは、売れないなら値段を落とすという戦略を採り続けてきた側に原因があります。

そしてこの記事に、消費者の意見を重ね合わせてみると、問題はさらに明確になります。

始めに引用した部分、つまり、「程度問題」。

この部分が、お互いに合致できていないのです。

その理由は、間に挟まっている第三者の存在があるからです。

と言っても、そこが悪者である、と言うことではありません。

消費者の側にも問題はあることは確かです。後半で引用した部分なんかがそう。

両者がきちんと歩み寄って、「コンテンツ」を正確に捉えることが重要だと思います。

一方の意見だけで全てを解決しようなんてのが、そもそもの間違いだと思うのです。

そして哀しいかな、今までの議論は総て一方からの主張で終わってるのが現実だと思います。

販売者側は消費者の声を聞かないし、消費者も販売者の立場を汲まない。

これでは、お互いへの憎悪ばかりが高まって、先になんて進めっこないと思います。

そして、もっと問題なのは、制作者の意見が蔑ろにされがちだという点。

販売者だけではなく、消費者も制作者を蔑ろにしていることが多いのが現実だと思います。

もっともそれは、制作者があまり声を上げてこなかった、ということも否定は出来ないとも思います。

まずは、商品の値段を上げるところから始めれば良いんじゃないかな、と思います。

そうすると何が起こるか。

欲しいかどうか分からないけど、安いから取りあえず買っておく、というのが無くなる。

そうすると、安価な代替品で満足してしまう、という構造が無くなる。

値段が高くなる以上、本当に欲しいと思えるものじゃなければ買わなくなるから。

そうすると、粗悪な商品が市場から駆逐されるのではないか。

ま、これはあまりに理想論が過ぎます。

「悪貨は良貨を駆逐する」というのは、散々言われてきたことです。

でも、ここを守るのが、行政という存在の仕事なのではないのかなぁ、と思うのです。

文化には価値の上下は付けられないなら、最初から全部放っておくべきです。

あくまでも調停者として、「良貨」を守る存在であるべきなのではないかと思います。

行政の仕事は、「制作者」がきちんと守られているかを見守る事だけのはず。

いちど、皆が原点に立ち返ってみることが大事なのではないかと思います。

お金儲けは決して悪いことではないけど、それだけが目的というのは寂しいと思う。

お金というのは価値を示す指針の一つに過ぎないはずなのです。

とはいえ、いちど商業主義に染まってしまうと、戻るのは難しいのですよねぇ。

どっちかの極にぶれすぎることなく、進むことが出来るかどうかなのでしょうね。

どんな解決策があるのかを考え始めると、あまりの複雑さに頭が痛くなりそうです。