漂書

ぼちぼちと、ゆるゆると

あの頃のテキストサイト

なんとなく「テキストサイト」で検索したら、こちらの記事がヒットした。

omocoro.jp

なつかしー、と思いながら読んでいて、ちょっと思うことがあったので書いてみる。

 

 テキストサイトの衰退に繋がったのは、個人的にはGoogleだと思ってる。

当時、自分の記憶では、まだGoogle全盛、ではなかったと思う。

検索サービス自体が乱立していて、まだYahoo! Japanがカテゴリ型だった。

サイトを開設するときは、Yahoo! Japanに登録してようやくスタートだったと思う。

 

なので、サイトへと辿り着く経路は、

Yahoo! から辿っていく、または、どこのサイトにもあったリンク集だった。

 

当時は、日記、掲示板、チャット、リンク集、といったホムペばかりだった。

日記は早々に更新が止まり、メインコンテンツはリンク集、みたいな。

掲示板には決まったメンツが数人。

チャットはだいたい空っぽ。

そんな感じのホムペが大部分だったと思う。

(ホムペはホームページ。当時は「サイト」なんて洒落た言い方はなかった)

 

そんな、いまのネット状況からすれば、閑散としたのがネット界隈だった。

そもそも、「インターネット」自体がどマイナーで、日陰なコンテンツだったと思う。

 

それが、Googleが検索サービスとして覇権を取った辺りから、

なんとなく、ネットの雰囲気が変わり始めたように思う。

mixiなどのSNSを経由して、ブログ全盛となったのもこの辺りかな。

 

それまでは、趣味のサイトを見付けようと思っても、

前述したとおり、Yahoo! からそれっぽいのを見付け、

そこからリンク集を辿ってブックマークを増やしていく、という流れだった。

そこには、宝探しに似た楽しみかたもあったと思う。

 

Googleのロボット型検索が主流となって、そういう文化は一気に消えた。

興味のある単語を打ち込めば、サイトの一覧がずらっと表示される。

わざわざリンク集なんてものを作り、メンテする手間なんか必要ない。

便利になったことは間違いないのだけど、緩い繋がりみたいなものは消えてしまった。

 

ブログにもトラックバックという仕組みがあって、

初期の頃は、それを使って緩い繋がりが形成されていた時期もあった。

けれど、スパムなトラバが激増し、だんだん機能しなくなっていく。

これは、ネット人口が一気に増加し、隠れ家的な趣味では無くなったためだと思う。

 

こうしてつらつら書いていくと、

テキストサイトの時代は、ファミコン時代みたいなものなのかもしれない。

技術的な制約と、社会からしたらマイナな文化。

その中でゆっくりと醸成された、ぬるくて柔らかい文化だったのかもしれない。

 

当時はその中で目一杯楽しんでいたから、懐かしんで感傷的になっているのかも。

けれど、いまのネットにはないものが、当時のネットには沢山あったと思う。

 

よりリアルな当時の感じは、こちらの記事が最高。

www.itmedia.co.jp

同世代でこの頃のネットを知っている人なら、

共感できすぎて大変だと思う(笑)。

 

当時の巡回先で、まだ残っているサイトを最後にリンクしていく。

だいたい、「テキストサイト代表」では出てこないサイトばかりなので。

 

www.kogarashi.jp

いきなり、これは「テキストサイト」ではないかもだけど(笑)。

このサイトは本当に好きで、夢中で読みふけったのを思い出す。

隠しリンクとかも懐かしいー。

 

www5a.biglobe.ne.jp

短文メインのテキストサイト

テキストの味が絶妙で、大好きだった。

こういう雰囲気が、当時のテキストサイトだったと思う。

 

InDEX-D(クリーンルーム風)

こちらも短文メイン。より日記的かな。

どうでも良いけど、埋め込みになったりならなかったりの違いはなんだろう。

 

帯封

倉庫

スペースコロニー

この方の文章は本当に好きで、今でもときどき読み返していたりする。

なんだろう。リズムとか言い回しとか本当に好き。

「ガキの頃俺はね」シリーズが特に好き。笑う。

 

うさだBlog / ls@usada's Workshop

こちらはいわゆるテキストサイトとは違うと思うけど、

文章のキレが素晴らしくて大好きだった。

過去ログへと辿り着くのがちょっと面倒。

 

他にもいっぱいあったけど、もうリンクが切れちゃってるとこばかり。

デジタル化されて劣化は無くなったのかもしれないけど、

ネットの世界、保存性は確実に悪くなっていると思う。

(魚拓とかアーカイブとか探せば出てくるのかもしれないけれど)

 

あの頃は、今みたいにリッチなコンテンツなんてなにもなかった。

その代わり、そこにはコミュニケーションだけがあった、とも言える。

管理人(という言い方も無くなったね)さんとの掲示板やチャットでのやりとり。

そこから広がった繋がりも沢山あった。

夜、一人でPCへと向かう姿は、端から見れば寂しいものだったかもしれない。

けれど、その時間はかけがえのないもので、とても大切な時間だった。

 

テキストサイト時代の、いま見たら別にどってことのない文章でも、

もしかしたら、当時の文化を示す重要な資料になる、なーんてこともあるかも。

ある意味、文筆の世界における私小説的な転換点だったかもしれない。なんてね。

 

前のブログで最後に書いた記事で、ちょっとした思い出話なんかを書いたので、

ここにこっそり貼っておこっと。

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